の-2
翌日のサークルの部屋は
昨日とは打って変わってほぼ全員いて。
もし昨日、この状態だったら
斎藤先輩とは何もない普通の先輩後輩の仲なんだろうなと思うと
人生って不思議だ。
ぼーっとそう考えていたら、1つ上の先輩が私の首筋を見て
「ダイブツちゃん、それってキスマーク?」
とつぶやいた。
大きな声じゃなかったのに、その言葉はサークル内で響き渡った様で
一斉に全員の視線が私に集まった。
「え・・あの」
昨日、斎藤先輩が私に吸いついていた奴だ!
とっさに手のひらでたぶんここ当たりだろうと思われる場所を
必死に隠した。
「え?ちょっと!ダイブツちゃん彼氏いないと思ってたのに!」
皆がドンドン集まって私を動けなくさせる。
ヤバイ。
斎藤先輩とのことをサークルで言っていいのか判断できずに
迫ってくる皆が怖くなって涙目になった。
そんな空気の中、その空気を壊すように
斎藤先輩が入ってきて
一瞬みんなの視線が斎藤先輩に集まった。
「なに?」
異様な雰囲気に気がついて
その中心にいる私に怪訝な声で問いただす。
「あの・・・」
言葉がつまって上手く言えない私に
「ダイブツちゃんに彼氏ができたらしい!」
「首筋にキスマークがあんだよ」
と先輩たちは矢継ぎ早に斎藤先輩に事と次第をご説明する。