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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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孫を頼む!-4

「今日天気も良くて絶好のお祭り日和だね。」
「……うん。」

力なく返事する、そんな私の心情を察し。

「折角の祭りだよっ!楽しもうよ♪」
「でも…。」
「おばさんの言うように子供の僕らがどうこう言ったってしょうがないよ。」
「風馬君。」

ステージに人だかりが、かぼちゃの早食い大会?

「そもそも今日はお爺さんの手伝いの他にお祭りを楽しむって目的もあるんだよ?…喧嘩して落ち込んでどうするの?」
「……。」

憂鬱な私、けど彼はお構いなく。

「っ!」
「行こ!」

私の手をがしっと掴み盛り上がるステージの方へ向かう。

それからは美味しい物を食べたり、小物アクセサリーを見たり、可愛らしいお花を売り歩く女の子に花を買ってあげたりして。

そうしていくうちにさっきまで喧嘩して今後の青果店の経営の事であれこれぐるぐると考えていた自分があほらしく見えて来て、本来の目的に気づけた感じで。

「いやー楽しいな。」
「……。」

何を言うでもなく元気を取り戻した私の横顔を見てにこっと微笑む彼。

「良かった、やっぱ君は笑った顔が一番だよ。」
「ありがとう風馬君、お陰で目が覚めた。」

人気の少ない祭り会場の外でゆったりと歩く、横で川が休む事なく流れている。

「駄目だよね、人にお節介焼いた挙句折角の祭りを楽しまないでいる何て。」
「そんな事ない、君は家族の幸せを精一杯考えてるんだ、それはとても人として素晴らしい事、僕は君のそういう所も好きだよ。」
「風馬、君。」

とはいえ不安が全て消えたと言えば嘘になる。

「お爺さんの事なら大丈夫、確かに頑固な所はあるけど、彼だって君の事をとても大事に思ってるんだ、無茶して意地を通し続ければ君が傷つく事くらい分かってる筈だ。」
「……。」
「信じよう彼の事。」
「…うん。」

風馬君の優しい言葉に私の不安は完全に消え去ろうとした。


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