キ-1
大学に入って、サークルの呼び込みをしている斎藤先輩を見た時
なんてカッコいい人なんだろう・・・って思った。
だから、絵里が
「あのサークルに凄くカッコいい人がいるんだってば!」
と、興奮して話していたのはこの人だ!とすぐに分かった。
斎藤先輩はものすごく人気者で。
私たちなんか相手にしてくれるような人じゃなかった。
私と絵里は2人で斎藤先輩の秘密ファンクラブを結成して
ずっとずっと、2人でそっと斎藤先輩にキャーキャー言って
私たちの中で斎藤先輩は段々とアイドル化して行った。
付き合いたいなんて、おこがましい事は考えていないし
斎藤先輩は、私が入学した時から年上のものすごく綺麗な
先輩と付き合っていて
2人が並ぶと、本当に美男美女で校内も色めきたった。
「あの二人が歩いてると本当に絵になるよね〜」
絵里とそんな風にため息をついて
遠くから見守るだけの1ファンで満足だった。
きっとそんな人はたくさんいる。
学年が変わって、彼女が卒業をしてOLになったと聞いても
会社でもモテるんだろうな。なんて憧れも増した。
1度だけ金曜日の夜に、サークルのメンバーといつも行く居酒屋で
会社帰りらしい、学生とは違う服を着た彼女と
斎藤先輩が飲んでいて、素敵。なんて思ったりもした。