キ-6
「先輩に好きな人が出来たら、何も言わないで別れます」
斎藤先輩が本当に好きな人が出来たら。
きっとそばにはいられない。
好きな人が出来るまでのつなぎでも良い。
先輩のそばにいたい!
「へぇ。何?この付き合いって対等じゃない訳?」
「え・・・」
誰ともお付き合いをしたことのない私は
付き合いに「対等」とか思いもしなくて。
「まぁ、先輩が主導権を持つ・・・かもしれないですね」
なんて言ってしまった。
その時、先輩の目が面白そうに光った。
「おーけ。付き合おうか!」
「え!本当ですか?」
「付き合うと言うより、主従関係、な?」
嬉しそうにそこを強調した。
「しゅ、主従関係、ですか?」
「そう。俺はダイブツちゃんのご主人さまって訳だ」
この人が・・・こんなに意地悪だと誰も教えてくれなかったんですけど。
「まぁ表向きはダイブツちゃんのご希望通り彼氏と彼女だけど」
「・・・・」
「面白そうだな」
「・・・・」
「じゃぁ最初の命令ね」
め、命令ってなんですか・・?
「俺にキスして」
嬉しそうに目をつぶった先輩をビックリして凝視した。
キ、キスするんですか―――?