夏純-4
突然、男は指の動きを止めた。
あと一歩というところまできて、くすぶったままだった。
ハアハアと息を荒げている。
ここまで燃え上がらせておいて、ともの欲しそうな目で夏純は訴える。
不満そうに、淫猥に腰を揺すっている。息づかいもまだまだ荒々しく、秘裂からは蜜液をしとどに滴らせている。
「あらまぁ、あともう少しってとこだったみたいだねぇ。……ほら、愛液ダラダラ」
わかっていながら夏純に聞く。
夏純は眉根を寄せて甘えた声で呻くだけだった。男を求める腰の動きがいやらしい。
「思いきり逝かせて、潮を噴かせようと思ったんだが……俺も奥さんの悩ましい顔を見ているうちに、この肉壺に挿れたくなっちゃってなぁ……」
秘裂に手を当てて柔々ともみながら言った。
「でも、濡らさなきゃ入らねんだぞ。こんなでかいの。……今までにこんなのを挿れたことあるか?正直に言ったら挿れてやる」
「ない……です」
「じゃぁ、自分で濡らしてみろよ。……でなきゃこのままだ。こんな濡れ方じゃ、ヘソまで裂けるかもな」
「待って。……します。今、しますから」
「何をするんだよ。……ハッキリ言うんだよ。夏純は今からマンコをいじくりまわしてオナニーします。そしてチンポを挿れてもらうために、マンコをベチョベチョに濡らしますってな」
夏純は男に何回も復唱させられた。
「なかなか素直にならねぇところは、尚ちゃんと同じだなっ!……いいか、女はみんなオナニーしてるんだ。恥ずかしいことなんかねぇんだよ。……毎月のものが決まってやってくるうちは、女は定期的に発情してメスになるんだからな。……なぁ、尚ちゃんよ」
男と目が合って、さっと尚代は顔を伏せた。
「さぁ、おまえの中に挿れてやるから。……さっきも言ったのように、まずはオナって、よく濡らすんだ」
「もう、いわないで。そんな……こと……」
夏純は、両膝を少し開いて、手を黒い翳りの中に進めていった。
「さあ、存分にな。……じゃないと……」
ナイフをまた見せ、小声で言い、夏純の右手を自らの硬くなった尖りの先に誘導した。
「ああっ」
自分の指が尖りに触れた瞬間、ピクッと身体が震えた。
「さぁ、尚ちゃん。姉ちゃんのオナニーショーの始まりだぞ。ここはひとつ、可憐な啼き声を披露してもらおう。……さぁ、姉さんのやり方を見て勉強するんだぞ。いいな」
男は尚代を見て言った。そして、尚代の隣の椅子に腰掛けた。
「さぁ、お客はふたりだ。心を込めてオナるんだぞ」
テーブルの上で、裸の女が膝を立て、股間で両手を蠢かせ始めた。
尖りを刺激しているのがわかった。
「さあさあ、遠慮しないで……」
男に言われた時には既に自ら擦り始めていた。もう自制できなかった。
「うううっ……」
腰を突き出し、立てた両膝を大きく左右に倒し、女のすべてを差し出すような格好だった。
左手の人差し指と薬指でVの字をつくり、女の尖りの裾野を拡げ、中指を曲げて皮を根元まで捲っている。夏純の尖りが、硬く大きく飛び出しているのが遠目にもよくわかる。
その尖りを淫蜜にまみれた右手の指先が激しくこね回している。
夏純の指先が赤くなって、力がこもっているのがわかる。本気だった。
赤味が増した秘肉が、内側から盛り上がっては、また戻っていく。盛り上がってくる時に、肉壺の口も大きく開花して、中の入りくんだ肉襞が外に飛び出てくるのが見える。
同時に、こんなに拡がるものかと驚くくらい、アナルが大きく口を開けている。
泡だった蜜が止めどなく溢れ出て、テーブルに糸を引いて垂れていく。
「はぁぁんっ……」
セミの声に混じって、ときおり悩ましい女の息づかいが聞こえ始めた。湿った音がそれに重なって、場を盛り上げていった。
テーブルがミシミシと規則的に軋んでいる。
「ああっ……はぁぁ……」
顎を引いて潜り込むようにしていた身体がゆっくりと反り返える。まるで、網の上で焼かれているような静かな動きだった。
二人は、無心に絶頂に向かう夏純に見とれている。
「動物園のメス猿を見てるみてぇだ。……男を誘う、いやらしい格好だぜ」
男の呟きが夏純に届く。
「言わないでぇ。……恥ずかしい」
「なぁに、ここまできたら、…最後までってもんだろっ!……心いくまで自分の世界に浸ってみろっ!……思いっきり声出していいぞ」
男の言葉に刺激されたのか、たちまち口を大きく開け、喉の奥から声が出てきた。
身体が震え始め、テーブルが揺れてきた。
両手だけが規則的に蠢いている。両脚もそれに合わせたように動いて、膝が左右に開閉を繰り返し、腰もゆっくり前後している。
アナルが大きく口を開けたままになっている。テーブルの蜜が大きな溜まりになっていた。
尿道口も大きく丸くなり、中から透明な滴が少しずつ流れ出していた。
「ああっ、うううっ……」
夏純が夫にも他人に見せたことのないオナニーによる絶頂だった。
「あああっ……あああっ……むふっ」
焦らされて、ようやくたどり着いた待ちこがれた絶頂だった。最後のスパートのように、動きが一段と増していく。腰の突き出しが一段とまし、尻が浮いてきた。両脚が突っ張り、膝が大きく左右に開いていった。
右手が激しく動き、泡を潰すようなプチプチ、ミチミチと音を立てている。
秘肉が盛り上がり、肉壺が全開になった。腰がガクガク震え、大きく上下し始めた。
「ああ……うう」
呻くような低い声が長く響いている。長い絶頂だった。
セミの鳴き声だけになった
ようやくガクッとテーブルの上に仰向けに倒れ込んだ。
何度も何度も繰り返し襲ってくる絶頂感に身体の震えが止まらなかった。絶頂の余韻に浸っている。
夏純の不規則な絶頂の吐息の中に、無意識に発する妖しく悩ましい声が混じって、いつまでも尾を引いていた。
日はまだ真上には登っていなかった。