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【その他 恋愛小説】

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2-3

「ご、ごめんね。気を悪くさせちゃって」


「いえ、あたしこそ大きな声を出してしまってすいませんでした」


恐る恐る上げた顔が、まだあどけなく見えて、それはまるでイタズラが見つかってしまった子供のよう。


「いや、いいよいいよ。俺も、その、女の子と二人で話すなんてことなかったから、変に疑り深くなってて」


すると、少し怯えたような彼女の顔が、キョトンと目を丸くしている。


「え……、じゃあ、今、カノジョさんはいないんですか!?」


「うん。今ってか、ずっといない」


すると今度は、パアッと顔に光が射したみたいに明るくなる。


女の子ってクルクル表情が変わるもんだなぁ。


彼女のそんな表情の一つ一つに、自ずとニコニコしてしまう。


「よかった! それじゃ、もしよかったらあたしとお友達になってくれませんか!?」


自分の頬がカッと熱くなるのがわかる。


きっと、今の俺はとんでもなくだらしない顔になってるかも。


「う、うん。俺でよかったら」


なんとか言えたそのセリフに、また、彼女がプウと頬を膨らませる。


「もう、そんな卑下した言い方止めて下さいってば」


「ご、ごめん……俺、女の子と二人で話すなんてことなかったから……ってアレ?」


なんとなくデジャブになったこの展開。


それに彼女も気付いたのか、思わず目が合ってそのまま固まる。


そして、次の瞬間、俺達は盛大に笑い出した。


「やだあ、面白いですね……えーと……」


「曽根。曽根将也(そねまさや)って言うんだ」


「曽根さん、か。あたしは……」


「宮下結衣(みやしたゆい)さんでしょう?」


「え、何で知ってるんですか!?」


「だって、さっき学生証見せてくれたじゃん」


「あ、そうだった」


一度笑い出したら、なかなか治らなくなって、俺達は暫くの間、笑い続けた。


笑い過ぎて、涙目になりながらお互いなんとなく見つめ合う内に、いつの間にか、薄れつつあった警戒心もすっかりなくなったようだ。


恋なんて、ほんの一瞬のタイミングで訪れるもの。


どこかで聞いた言葉が、無意識のうちに俺の頭の中を何度もリフレインしていた。







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