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1-2

「そんなのとっくにしてるっつーの。でもソイツ、携帯何個か持ってるみたいでさ、いろんな番号で電話かけてきたり、SNSで大量のアカウント作ってメッセージ送ってくんの」


「うーわ、マジ?」


「そうそう。しかもそれだけじゃねーんだ。俺のアパートまでバレてるっぽくて、帰り道にその女っぽいのを何度か見かけてさ」


ウザそうに言う前田は、ホテルでシャワー浴びてる時に学生証とか免許証見られたのかな、なんてボソッと呟いていた。


オイオイ、それってヤバいんじゃないか?


そう思ったけれど、前田の元来の軽い口調(チャラいとも言う)のせいか、事態はさほど深刻そうには見えなかった。


まあ、前田がナンパするくらいの女だから、それなりにレベルは高いのだろう。


「だったらもう覚悟決めて付き合ってやれば? どうせ結構カワイイんだろ?」


すると前田は勘弁してくれと言わんばかりに小さく挙げた両手を降伏するように控えめに振った。


「やだよ、そんなめんどくせーこと。大体、付き合っちゃったらもうナンパなんてできなくなるし」


カノジョがいるイコール、ナンパできない、と考えている前田。


それはつまり、カノジョがいたらナンパしないという風にも解釈できるわけだ。


遊び人だったら、カノジョがいても平気でナンパやら二股やらしてそうなもんなのに、コイツときたら、遊ぶと決めたらトコトン割り切った付き合いしかしない、と決めているようで。


それが俺にとっては、筋を通しているようにも見えるから、チャラいんだけど、遊び人なんだけど、俺はコイツを軽蔑しきれない。


「あー、やっぱり引っ越しするしかねーのかなあ。でも免許取りてえから引っ越しする余裕なんてねえしなあ」


テーブルにグデーッと身体を伏せる前田は、まるで縁側でひなたぼっこをする猫のようだった。




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