コンピューターの女-20
２０．
「失礼します。お客様、お飲み物はいかがですか？」
スチュワーデスの声に、藤子は慌ててビデオカメラのスイッチを切った。画面いっぱいに写っていたダークピンクの肉塊のクローズアップが、スッと消えた。
「そうねえ、コーラでも頂こうかしら」
パプアニューギニアの上空、四千メートルを飛行中との機長のアナウンスが、有ったばかりだ。ひざ掛けを胸元まで引き上げ、ビデオの再生画面に見入っていたところだ。
スチュワーデスの運んで来たコーラを、喉に流す。口に含むと、火照った頬が冷えて脳のもやもやが幾分落ち着く。
「未だ、昨日のことなのよね」
ビデオのスイッチを入れる。瞼に残る残像の肉塊が画面の絵と重なり、ヒクヒクっと脈動している。
画面をズームアウトすると、逸物の周りに啓介の肌が広がる。画面の外から、藤子の顔が入ってくる。
手が伸びて、縮れ毛の草むらから勃起している、ペニスを支える。顔が、画面中心にすっと寄る。
唇が開いて、亀頭が吸い込まれる。藤子は目を閉じている。
あの舌触り、肉感、啓介の物憂げなヨガリ声が、イヤホーンを通して、脳髄に響く。
「うう〜ぅん、気持ちいいっ」
舌の上に、とろりと体液が滴ります。両手が頭を抱えると、ペニスが唇の間でコイッスを始めます。
口の中に肉棒が満ち、熱気が頬に伝わります。
「藤子、ああ〜藤子、イイッ」
目を閉じていても、瞼の裏を次から次へと、画面が進んでいく。