第二章 報復されたシングルマザー-21
「うっぐっ……」
灼熱の肉槍が突き立てられてくる。
やはり。大きな亀頭を抉じ入れられて入口を広げられる圧迫感は、これから屈辱が滔々と続くプロローグだと思った。
「うぉらぁっ!!」
部屋中に響く声が聞こえたかと思うと、涼子の体の中心を強烈な衝撃が走り、脳天から突き抜けていった。
「かはっ……、がっ……!?」
強姦被害者としての辛苦を少しでも和らげようと、ヒロイズムに浸っていた涼子の蜜道を、巨大な肉が駆け抜けていってドスンとした衝撃を最奥に伝えた。
夢から醒めたように涼子は刮目すると、
(あ……、え……)
何が何だか分からないままに、襞壁がひとりでに痙攣して、体内に埋められた土橋を搾ると脳髄で意識が何度も瞬断した。
「おおっ……! 宮本マネージャー……、イッてますね……? ものすごいオマンコ、……ちぎられそうだ」
そうだ、まだ大学院にいた頃に少しだけ付き合った相手に、一度だけ絶頂をもたらされた。その後惚れ気が冷めてしまった彼からも、夫に至ってはついぞもたらされなかった、その一度だけの絶頂と同じ……。
いや、濃度がまるで違った。言葉が出てこない。意図通りに体が動かせないのに、膣洞がビクビク収縮しては肉幹を抱きしめている。
「あんっ……すっごいっ。一発目からマンコイキしてる……」
汐里が甘ったるく興奮した声で感想を漏らした。「私の時はゆっくりゆっくりハメられたのに……。アレが一気に来ちゃったら、当然即イキだよぉ」
「お前とはご経験が違うかと思って、イヤラしく犯してあげなきゃなと思ったんだ、くく……」
絶頂による搾り上げから落ち着いた土橋が、グチュッ、と媚肉を撥ねさせながら腰を引いていく。
「は、や……、や……」
恐ろしさに涼子は首を振った。
またあの衝撃がきたら――、と思った時には掛け声と同時に軟蓋を容赦なく打突され、
「キャウッ!!」
犬が喧嘩に敗れて降参した時のように哭いた涼子は、頭の上の両手を握りしめても、腹の中から全身に行き渡ってくる快美を押し留めることができなかった。
三回目に向けて男茎が引かれる時には、蜜壺が恐怖と期待ないまぜに蠕動していた。
何も知らない生娘ならばこうはならなかったかもしれない。かつて絶頂の感覚を経験している涼子の体は、その記憶を何の前触れもなく強制的に蘇らせられて、信じられないほどの快美を全身に横溢させていた。
しかも数年ぶりのセックス。自覚しないままに密かに爛熟していた性感が、低劣な肉棒で引きずり出されていく。
「ほら、女っぽい声、もっと聞かせてください……よっと!」
体に衝撃を与えられるたび、涼子は哭き声を上げた。
子を産む道具にしようとした夫や、女だからといって自分を一人の戦力として見なさなかった、かつての会社の上司たちを寄せ付けぬほど、性別を超えた高みに至ったと思っていた自分が、数度の打突で、か弱い声を上げている……。
「や、やめて……、も、もうやめて……」
このままでは人生と矜持を賭けて努めた全てを台無しにされてしまう。そう思った涼子は、息絶え絶えに土橋に訴えたが、
「ほら、感じればいいんですよ。好きなんでしょう? 犯されるのが。こうやって縛られて無理矢理オチンポを突っ込まれてるのに」
土橋は充実して艶かしい腰肉を何の思いやりなく掴むと、律動を早めてきた。
「うあっ……はぁあっ!」
「イヤラしいオマンコですよ。俺のオチンポが気に入ってくれたんですね? こんなギュウギュウしくれて」
圧迫の苦しみの中、大きな亀頭が首回りに張った肉傘で襞を弾き、もうとめどなく漏らしてしまっている蜜に滑って擦ってくる。ハンマーをねじ込まれて、掻き回されているかのような暴淫を、涼子は腰を浮かせてこれを迎え、熱い媚肉で快楽へと転化させていた。
「ああっ! うああっ!」
もう次の絶頂がやってきた。大きく口を開けた。淫靡な闇に吸い込まれないように、克己にしがみつくしかなかった。
激しい律動を送り込む土橋が、顔の両側に手を付いて覗き込んできた。
「ほら、またイキたいんでしょう?」
「うっ……そ、かはっ、そんな。……い、いやっ! こんなのでぇっ……!」
「謝ってくださいよ。そしたらやめてあげてもいいですよ?」
土橋を見上げた。涼子の体で淫欲を癒されて満足げな顔をしている。
この男がこんな暴挙に走ったのは、あの日廊下で馬鹿にされたからだと言った。逆恨みも甚だしい。今も間違ってはいないと思っている。現にこの男は、まさに蔑ずむべき行為をはたらいているではないか……。
「あ、……ご、ごめんなさい……許して」
――自尊心をボロボロにされるよりマシだった。これは決して、敗北ではない。
「スケベなカラダでごめんなさい、でしょ?」
(……!)
しかし土橋が求めた謝罪は、その無能さを貶したことではなかった。
驚きに目を見開いた涼子だったが、すぐにその潤んだ瞳を細めて睫毛に隠し、かぶりを振った。
むろん、それは謝罪するようなことではない。