第二章 報復されたシングルマザー-14
最後に喉から搾られた口惜しそうな涼子の悲鳴を聞いて、保彦はこのまま話しているだけではとても耐えられなくなった。
身を起こすと、大きなテーブルの上に悠々と登る。更に危機感を強めた涼子が、
「なんでっ、なんでこんなことするのよっ!」
身体は虚しい抵抗を続けつつも、テーブルに上がってきた強姦魔に問うてきた。
「なんで? ……理由は二つです」
保彦は涼子が身を横たえていてもまだ余幅のある広いテーブルの上を悠々と膝で進み、「一つは、この間お会いした時に言われたことが我慢できないからです。俺のことをさんざん馬鹿にしてくれましたよね? 俺、メンタルで休職してるんですよ? そんな俺に……、いったいあなたは何様ですか?」
「そ、それは……」
「何言ったかすら、憶えてないでしょう? 宮本マネージャーにとっては、俺なんかゴミ同然でしょうから」
嘘だ。元凶は土橋が暴言によって傷ついたことではない。たが、真実を涼子に知らしめてやる意味はないのだ。
「う……、わ、わかったわ。謝罪します。だから、やめて」
かつ、謝罪というものも、心が篭っていなければ、謝られる方にとっては全く意味がない。
「謝ってもらえるんですね。それはよかった」
保彦はそう言って、「ところで、マネージャー、さっきパンチラしてくれそうでしたよね? 今日のオパンティ、拝見してもいいですか?」
左右から両手でタイトスカートの裾を摘んだ。
「ちょっ……、ちょっとっ! 謝罪したじゃない!」
保彦がスッと裾を引き上げると、黒いストッキングに包まれた美脚の、より蠱惑的な部分が覗く。
「二つあるって言ったでしょ? 理由は」
更に裾を引き上げると、タイトスカートの前に横皺が刻まれて、チェアで脚を組んでいた時に覗いていた領域まで晒され始める。
「や、やめて……、捲らないでっ。……ね、も、もうひとつって、なにっ? は、話は全部聞く、……聞くからっ」
「聞いてくれるんですか? もうひとつの理由は……、宮本マネージャーの体がエッチすぎるからですよ。見てるだけでヤリたくて、ヤリたくて仕方なくなるからです。……ほらほら、もうすぐオパンティ見えちゃいますねぇ?」
脚の付け根ギリギリまで引き上げられている。涼子は肩幅から閉じることができない美脚を、膝を内側に向けて少しでも狭めようとしていた。
「へ、変態っ! そんなの理由なんかじゃないわっ!」
お前が決めることじゃないけどな、と保彦は涼子の顔と、スカートの裾を交互に見やり、
「謝ってくれますか? 馬鹿にしてゴメンナサイ。エッチなカラダでゴメンナサイ、ってね」
「なっ……」
憤怒が激発する顔がいい。求めていたとおりの反応を次々と見せてくれる。
保彦は掴んだ両手のスナップを利かせ、ピンッと裾が張られるのを涼子に伝え、
「じゃ、見ますね?」
と言うと、涼子が慌てて、
「あっ……! ま、まってっ!」
と叫んだ。「……。……あ、謝る。謝るから、やめて」
「馬鹿にしたことと、エッチなカラダしてることをですか?」
前者はともかく、後者は涼子にとっては全くの言いがかりだ。
しかし眉間に皺を刻んで眉を吊った涼子は、
「そ、そうよっ……」
と、この場を何とかやり過ごしたいあまり、無念に濁った声で言った。
「そうですか」
それを聞いた保彦は、グイッと力を込めてスカートを捲り上げた。
「うあっ! や、約束がちがうっ!」
「約束?」
顔を出したのは意外にも何の装飾もない、水着のようにシンプルな黒のショーツだった。しかしスカートの裾で暗みがかった、下肢に張り付いている薄布が形作る三角地帯からは、匂い立つほどの色気が漂ってきた。
その芳薫に酔いしれて更にスカートを引き上げようとすると、思った通り、涼子の量感あるヒップが邪魔をしてくる。
「罰を与えるんですよっ。……俺を馬鹿にしたことと、エッチなカラダしてることへのねっ!」
タイトスカートは捲り上げ辛さがむしろ楽しい。力が込められる度、恥辱を煽っているだろう。
最後に一つ、それまでより強く力を込めると、スルンと反発が緩んで涼子の下腹部の全てが明るみになった。
「いやっ!」
涼子の下腹に暫し見惚れた。
これが本当に四十近い女の体だろうか? 肌は全く弛みなく、曲線を目で追うことすら心地いい。
若い女の体には負けているか、いないか。そんな基準では、この素晴らしさをとても言い表すことはできなかった。若々しさを保ちながらも、例えば鼠径から太ももに切れ込んでいくライン、あるいは腰骨からヒップに続く丸みには、熟れた女の淫靡さが醸し出ている。その相乗効果が、若かろうが薹が立っていようが関係のない、稀有といっていい淫材として保彦の前に横たわっていた。
「意外とモリマンなんですねぇ、マネージャー」