将来-1
今日も大好きな彼と休日にデート。けどその舞台は賑やかな動物園でもなければ楽しい
レストランでもない、お金の掛からない静かな場所。
「ごめーん、待たせちゃってーっ!」
「あ、やっと来た。」
ベンチで本を読みながら待っていた私はその本を閉じ立ち上がる。
「随分時間掛かったね?何探してたの?」
「うん、ちょっと…ね。」
「?」
口ごもる彼に私は首を傾げる、風馬君が隠し事とか少し珍しいな。
「にしてもどうしてまた今日は図書館なの?前に観たい映画があるって言ってたのに。」
「……良いじゃない、たまにはこういう落ち着いた所でも。」
そりゃそうだけど…、私は風馬君のバックから図書館で借りてきた本を目にし。
「ねぇ!何借りたの、見せて!」
「わわっ!駄目ぇー!」
腕を伸ばすも咄嗟に交わされた、なぜ。
「ちょっと!」
「ごめん、でもやめて欲しい。」
「風馬、君。」
何だか空気がドンヨリし始めた気がする、そこで私はバックからランチボックスを取り出し開ける。
「ん、なにこれ、うわぁーマカロン!?」
「ふふ、正解♪」
カラフルな色とりどりなマカロン。
「これ、作ったの?」
「うん!朝早く起きるの大変だったわ。」
待ち合わせは朝の10時、朝早く起きなくても冷蔵庫で冷やしたりすればいいだけなのだが、やはり出来立てを少しでも彼に味わって欲しくて。
「…どう、美味しい?」
「うん!君が作ったんだからまずい訳ないよ。」
風馬君もお菓子作りが出来るようだけど私よりは上手くないようで。
「大変だったでしょう?朝から作る何て…。」
「そうだけど、でもお菓子はやっぱ作り立てが一番!君に少しでも美味しく食べて欲しくて頑張ったのよ。」
「…僕の、為に…ありがとう!」
そう言ってどんどんボックスからマカロンが彼の胃袋に。
「ねぇ!まだないの?」
「もうないよ、ふふまさか全部食べてくれる何て、私の分…。」
「あっ。」
「良いの!良いの!元々君の為に作った訳だし、また作れば良いだけの事。」
「じゃーもっと作ってよ!」
「えー、材料が、もう。」
「ならスーパーに行って一緒に買いに行こうよ!」
子供のようにはしゃぎ目をキラキラさせる彼。
「君が僕の為に作るマカロンをもっと食べたいんだ。」
「…でもそんなに食べると太っちゃうよー。」
「大丈夫だよ、そんなの後で痩せれば良いだけだし。」
「んもぅ、今さえ良ければそれで良い訳ねぇー。」
私が注意してもにへらーって笑うだけだし。
本の中身も分からぬままそのまま図書館を後にする事に。