真と偽の夜想曲.-2
〜君はいつから此処にいるの?
「…分からないわ」
〜分からない?ボクと同じで気付けば此処にいたの?
「分からない。でも、私は創め(はじめ)から此処にいた。」
〜創から?それ以前のことは覚えていないって事?〜
「私の始まりはあなたの声だった。」
〜エ?
「あなたが此処に来たことであなたと私は出逢った、私とあな たの始まりは此処、わたしの始まり。」
そういうことか。
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彼女は本を読んでいた。
〜何を読んでるの?〜
単に話すことが無かっただけだった、彼女の本になど興味は無かったかも知れない。
いつまでも此処にいる彼女に興味があった…
「……全ての記録。」
〜全ての記録?
「始まりから始まり、終わりのない記録…」
興味は無かった…はずだった、
〜ボクも読んで良いかな?
「好きにすれば良いわ、あなたも持っているはず…だから。」
え?ボクも
「あなたの…かばんの中。」
……白いカバー、表紙には何も書いていない
………
……………
………………………
……………………………………………
いままでの事が載ってある
〜今までのことがのってあるよ。
「…そう、これは彼方の記録。」
〜ボクの記録…でも此処から白紙になっている。
「彼方のこれからの記録、それは彼方が作らなければならない。」
〜ボクの作る自分の記録。
「記録はあなた自身、あなたを支える柱の一つになるわ。」
「だけど過去に縛られてはだめ、あなたは未来に生きていかな
ければならないから。この本は後戻りするためのものではないわ
、後を振り返るためのものだから…」
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気がつけばボクは教会に一人でいた。
もうすぐ夜が明ける、窓から視える空はほのかに蒼かった。
もう一度、逢えるだろうか……
いま、互いが此処に存在する事実は変わらないわ…
もしかしたら彼女は…
〜ボク自身なのかもしれない…