夜-10
広間についたが ほとんど何も見えない
かすかに 遠くの灯りが カーテンの隙間から入っている
でも その暗闇の中で
動きが 少しあるのはわかる・・・・
「さて 次だけど 誰がシャワー浴びるかが 見えないから わからないね」
サトコは そういってから
静かな広間に耳をすませた
微かだが 鼻息のような 吐息のような音と
舐めているような独特の音が聞こえる
「・・・今 誰かにつかまってる女子!床をコンコン叩いてみて」
サトコがそういうと 広間の数か所から
コンコン・・・・・・と
音が返ってきた
「逆に、捕まってない女子!いたら 場所ばれるかもしれないけど 手を叩いて」
そのサトコの言葉に
返事は返ってこなかった
みんな 捕まったということか
誰が 誰に捕まってるか まったくわからない・・・・
チカは 誰に捕まってるのだろう・・・・
不安を感じている俺の手を サトコが ゆっくり握ってくれた
それから
サトコが広間に話した
「じゃあ、次は チカちゃん 今いる相手とシャワーに行ってね」
「・・・・・・・う、うん」
チカの声が 広間の台所方面から聞こえた
そして ゆっくり立ち上がる音がし
暗闇を不安そうに歩きだす足音が聞こえてくる
すり足で ゆっくりと
壁伝いに シャワーの方に向かっていく
俺は 声をかけることもなく
その足音が 脱衣所に入っていくのを聞いていた
「あ、チカちゃん!チカちゃんはもうしゃべっていいからね」
「いいの?わ・・・・・ここも電気つけちゃだめよね」
「つけないほうが いいかもね 見られたくないなら」
サトコがそういうと
チカか もう一人の誰かが浴室のドアを開けた音がした
すぐにシャワーの音がし
チカが 誰かと 本当の二人きりになっている
そんな時 サトコは 俺の手を引き
なんと 脱衣所の方に進み始めた
俺は 少し驚きながらも
チカの方に行きたくて
そのまま すり足でついていった
脱衣所に近くなると
シャワーの音の中で かすかに声が聞こえてくる
「・・・・・・ん」
「俺 声出して いいのか?」
「・・・・・シャワーで聞こえないんじゃ・・・あ・・・」
「華奢な身体だな・・・チカちゃん」
俺は 相手が誰か 声でわかってしまった
もちろん サトコもわかったようだ
サトコは 俺の手を強く握っていくのがわかる
俺も 握り返していた
「声出さないで よく耐えたな、チカちゃん・・・」
「あ・・・・・ん・・・・・んんん・・・・・」
シャワーの音ではっきりわからないが
チカが キスをされている気がする
「ん・・・・・ん・・・・・・あ・・・・ダメです・・・・リュウ先輩」
やっぱり 相手は リュウさんだった