初めての・・・豹介とゆかりの場合-6
ある日曜日、部活が終わった豹介とゆかりは、
学校近くのファーストフード店に来ていた。
「―――豹介?」
上の空の豹介にゆかりは心配そうにのぞき込んだ。
「あ・・・?悪りぃ、なんか言った?」
「もう〜、だからこの後どうする?って聞いたんだよ。映画でも観に行く?」
「そうだな・・・。」
「何見る?私は恋愛系のみたいな〜。キュンキュンってしたい〜!」
「そうだな・・・。」
豹介の心ここにあらずの返事を聞いて、ゆかりはムッとする。
「ちょっと豹介!」
ゆかりは豹介の手をペシっと叩いた。
「いてっ!!」
「映画観る気ないなら言ってよ!」
「あ・・ごめん、今日はあんまり映画って気分じゃねぇな・・・。」
「わかった。じゃあ映画やめよ。――もう・・・帰る?」
「あぁ。送ってくよ。」
ゆかりと豹介の家は学校から反対方向だが、
豹介はいつもゆかりを家まで送ってくれる。
ゆかりから手を差し出して、二人は手を繋いで歩き始めた。