初めての・・・豹介とゆかりの場合-23
月曜日の朝、久しぶりにゆかりと豹介が一緒にいるのを見かけて、
葵はホッと胸を撫で下ろした。
休み時間の度にまた豹介がゆかりに会いに来るようになった。
その見慣れた光景が戻ってきたことが、彼にとっても嬉しい。
豹介は葵と目が合うと、照れくさそうに彼を廊下に呼び出した。
「あのさ・・・サンキューな。俺、ゆかりとちゃんと仲直りで来た。
っても、喧嘩してたわけじゃないけどさ。なんかギクシャクしてたの解消したわ。」
「俺は何もしてないけど?でも、よかったじゃん。やっと思いが叶ったみたいだし。」
「・・・?叶ったって、何が?」
「ゆかりとヤッたんだろ?」
そう言われて豹介は驚いた眼で葵を見た。
「っ・・・なんっでそれ・・わかった?」
焦る豹介に葵は落ち着いた様子で答える。
「二人の様子見てたらすぐにわかるよ。」
「・・・そういうもん・・なのか?他の奴も気づくのか?!」
「さぁ?わかんないけど。」
「――そうだっ!!何組だっけ、お前言ってたゆかり狙ってるって、
田口だか高橋ってやつ!!気に入った女は必ずものにするとかって。
俺、話しつけてくる!!!ゆかりに手を出すなって言ってやる。」
「――誰のこと?俺、知らない。」
「は?!知らないって、お前言ってただろ?」
葵は苦笑いをしながら豹介を見つめるだけだった。
「・・・もしかして俺を騙したのか?」
「そうでもしないと、お前動かなかっただろ?」
豹介は葵の顔を目がけて握りしめた拳を振った。
しかし葵は微動だにせず、豹介のその拳は彼の肩をゴツンと叩いた。
「―――騙されたのは悔しいけど・・・やっぱお前には敵わねぇや・・・。」
豹介はいつもの笑顔で葵に言った。