初めての・・・豹介とゆかりの場合-22
ゆかりが家に帰ると、母親が待ち構えていた。
「ゆかり〜〜〜、遅いよ!!遅くなるって連絡くれたのは良いけどさ、
帰って来るの8時だとは思わなかったよ。お母さん、お腹すいちゃったじゃない!!!」
玄関まで送ってくれた豹介が謝る。
「おばさん、ごめん・・・。」
ゆかりの母は、豹介の顔を見てすぐに態度を変えた。
「あらやだ、豹介君が一緒だったの?いっつも部活で平日一緒にいれないって、
ゆかりからグチ聞いてたから、他の友だちと遊び歩いてんのかと思っちゃった。
受験生なのにさ!
あ、ご飯まだならうちで食べてかない?」
豹介はゆかりの母親から好感度が高い。ゆかりから彼氏だと紹介された時から、
彼女の母親は豹介を気に入っているようだった。
「いや、うちの母さんが用意してくれたの食べないとならないんで、
今日は遠慮しときます。でも次はおばさんの料理食べたいな。」
「もう〜、いつでも来て!豹介君の好きな物作って待ってるから!!」
ゆかりは苦笑いしながら、母親の話を打ち切った。
「じゃあ送ってくれてありがと。明日も土曜日だけど部活あるんでしょ?
その後なら会える?」
「明日は行かないと怒られるからな・・・12時には終わる。」
再びゆかり母が割り込んでくる。
「じゃあ、その後うちに来たら?一緒にお昼ご飯食べたらいいじゃない。
お母さんも明日は夕方からデートなんだぁ。」
「マジで、いいの?じゃあ、お言葉に甘えて昼飯ごちそうになっちゃおうかな。
じゃあ、俺帰るわ。」
「うん、ありがと!後でメールする。気を付けてね。」
ゆかりは愛おしそうに豹介の後姿を見送った。
その後、彼女は母親から色々詮索されたのは、言うまでもない。