初めての・・・豹介とゆかりの場合-2
そんなある日の放課後、ゆかりが葵の通う塾の近くへ行かなくてはならず、
二人は一緒に電車に乗り、塾近くの駅の通りを歩いていた。
ゆかりの母から買い物を頼まれてしまったゆかりは、
めんどくさそうに買うものを書いたリストを見ながら、
行かなくてはならない店までの道のりを復唱している。
「・・・また言ってる。店の場所知らないの?」
「知ってたらもう着いてるよ〜!聞いた事ない店の名前だし、
この辺始めてきたんだもん。しかも道入り組んでる〜
あ、もう!次にどこで曲がるか忘れちゃったじゃん。」
「この辺ゆかりより詳しいから、地図見せて?」
葵は不機嫌なゆかりから、メモを取る。
「なんだこの地図・・・。ってか地図か?これ。」
「お母さんが描いた。わかんないでしょ、それ。」
葵はゆかりの母が描いた地図のようなものを見て、
しばらく考えるとどうやらひらめいたように言った。
「あ、これ塾の近くだ。時間あるし、俺もついて行ってあげるよ。」
「うそ、マジで?!ラッキー!持つべきものは葵サマだね。」
上機嫌になったゆかりは、嬉しそうに葵の背中をポンッと叩いた。