初めての・・・豹介とゆかりの場合-13
久しぶりに手を繋いで帰る。
以前は普通のことだったのに、しばらく相手に触れていないと
なんだかまた新鮮な気持ちになる。
それに、相手の温もりが伝わってきて安心する。
「――今日、ゆかりん家、誰かいんの?」
「え?お母さん朝いたから、仕事やすみだと思うけど・・・。」
「そっか・・じゃあ・・・さ、俺ん家来ない?」
「豹介の家?」
「帰り送ってくから。」
「・・・いいけど。どうしたの?急に。」
「今日、うち誰もいないんだ。」
以前ゆかりが使った誘い文句で豹介が勝負に出る。
ゆかりは彼の真意にすぐに気づいて、黙ってうなずいた。
「この間待つって言ったけどさ、俺、
本当にゆかりが好きだから・・・もう我慢できねぇ。」
「・・・私も豹介のこと、大好きだよ?
我慢なんてしなくてもいいから・・・私を奪って・・・?」
学校近くの駅前で、二人は他の学生たちが行き交う中、抱きしめ合ってキスをした。