初めての・・・豹介とゆかりの場合-12
豹介は急いで進路相談室に向かった。
しかしすでにゆかりの姿はなく、相談を受けた教師は、
彼女に図書室で昔の資料を探してみたらとアドバイスをしたと言った。
すぐに豹介は図書室へ向かう。
誰もゆかりの後を追っていませんように。そう願いながら。
勢いよく図書室のドアを開けると、驚いた表情のゆかりがただ一人、
机に向かいながら資料を見ていた。
「ゆかり!!!帰るぞ、一緒に!!」
「・・・豹介?・・・どうしたの?部活は?」
「部活どころじゃねぇ、今すぐ一緒に帰るぞ!」
「えっ?・・でも、私これからこれコピーしたいし。」
「じゃあ待ってる!」
そう言われてゆかりは急いで資料をコピーして、帰る支度をした。
「終わったか?」
「・・・うん。」
急に豹介が部活ではなく自分を優先して、ゆかりには訳が分からなかった。
(どうしたんだろう、豹介・・・。でも久しぶりに一緒に帰れて嬉しいな。)