初めての・・・豹介とゆかりの場合-11
葵は申し訳ない気持ちになる。
彼だって悪い事をしたわけではない。ただゆかりの道案内をしただけなのに。
「・・・ごめん。もうゆかりと二人では歩かない。」
そう聞いて豹介は我に返る。
「悪い・・・お前にそんな事言わせたいわけじゃないんだ!
でも・・・俺もどうしていいのか、もうわかんねぇ。
俺はお前もゆかりも失いたくないのに。お前らのこと本当に大事だと思ってるのに・・・
でも二人が噂されて嫌だったんだ!!どうしてもお前に嫉妬しちまう。」
「豹介・・・。これから学校ではゆかりとは二人っきりにならないようにする。
だからお前はできるだけゆかりの傍にいなよ。
ゆかりだって本当にお前のこと好きなんだからさ、自信持てよ。
それにこのままじゃ、ゆかりが危ないよ。」
「――ゆかり、誰かに本気で口説かれてるのか?」
「昼休み偶然見た。C組の田口だか田畑って奴がゆかりに付き合おうって言ってるの。
もちろんゆかりは豹介がいるからって断ってたけどさ、あいつの噂知らない?
狙った女は男がいようがどんな手を使っても落とすって。」
「・・・っのヤロウ・・・。俺、ゆかり探してくる!!」
「ゆかりなら進路相談室に寄ってから帰るってさ。頑張れよ。」