葵の父親-34
どういう事だろう。自分はきちんと報告だってしたし、ノートに書いた記憶がある。
とりあえず、すみませんと謝ってすぐに奈々子はナースステーションに戻って、
日誌を開く。あれは一昨日だったはず・・・。
その日の日誌を見て、奈々子の手が震えた。
修正テープで奈々子が書いた文字が消されて、上に別の報告事項が書かれているのだ。
どうして・・・?
これって、嫌がらせ?
どういう事か山岡さんに確認しなきゃ・・・でも今日は休みだ。
どうしよう、私どうしてこんな目にあっているの?!
泣きたい気持ちを堪えて、その日の仕事を終える。
(亜美に相談してみようかな・・・でも亜美だって新しい仕事で大変なのに、
こんな暗い話できないよ。
東海林君は・・・もし彼が他のナースに私のこと相談したら、
きっともっと酷い仕打ちにあいそう・・・。)
仕事の悩みを葵に相談しても、彼はまだ学生だからきっとわからないだろう。
それにきっとすごい心配する。受験もあるんだから、
負担になりたくないという想いで、誰にも言えずに奈々子はしばらく一人で耐えいた。
その間にも、奈々子にだけ連絡事項がまわって来なくて知らないことがあったり、
しょっちゅう婦長から厭味ったらしくく文句を言われたりした。
しかし誰も見て見ぬふりをしていた。
それも婦長は男性職員がいない所だけで奈々子をいびっていた。