葵の父親-24
でも、まさか葵の父親がドクターだとは思わなかった。
まさか嫌っている父親と同じ職業を選ぶなんて・・・どうしてだろう?
それにあんな人望があって仕事も出来る小田医師が、
葵から聞いている最悪の人物と同一人物だったことに衝撃を受ける。
私はこれからどうやって小田医師と仕事をしていけばいいんだろう・・・。
どれくらいの間そうしていたのかわからないが、
奈々子は呆然と玄関で立ち尽くしていると、玄関のドアが開いた。
「あれ?奈々、玄関で待っていてくれたの?」
葵が荷物を抱えて帰ってきた。
「あっ!!お帰り。うん・・・早く会いたくて。」
奈々子はとっさに嘘をついた。そんな奈々子に葵は気がつかず、
持っていた荷物を置いて、嬉しそうに奈々子を抱きしめた。
「俺も早く会いたかった。」
「誕生日おめでとう!おなかすいてない?みんなと何か食べてきた?」
葵は奈々子から離れて、靴を脱ぎながら話す。
「みんなでカラオケ行ってきただけだよ。ゆかりが奈々が何か作るだろうからって、
ジュースしか飲ませてくれなかった。」
「そうなの?ゆかりは変なところに気を遣うんだから。」
「でも今度なんかおごってくれるってさ。」
奈々子も荷物を持つのを手伝いながらリビングへ向かう。
「それにしてもすごい荷物だね。よく持って帰ってこれたね。」