葵の父親-19
4月も中旬になり、すでに高校も新学期を迎えていた。
昨年もすごかったらしいが、今年も新入生からの熱い視線を葵は受けていた。
積極的な1年生からは堂々と葵に彼女はいるのか?と聞かれていた。
いると言っても、彼と近づきたい思いで連絡先を聞いたり、
色々な方法で探りを入れ始められていた。
「モテる男はツラいね〜!」
ゆかりが冗談交じりで葵をからかった。
「彼女がいても諦めない精神、凄いよな。俺、感心するわ。」
豹介は何年も葵のこんな姿を見ているせいか、
特に驚きもせずいつものことだと思っている。
呑気にボトルジュースを飲みながら、
うんざりした表情の葵にもう1本買ってあったジュースを勢いよくポンっと投げた。
葵はそのジュースを受け取り、早速開けようとキャップをひねろうとするが、
すぐに気づいて手を止めた。
「・・・豹介、これ炭酸じゃん。」
「あ、気づいた?水も滴るいい男にしてやろうと思ったのに!」