葵の父親-16
それから2週間、奈々子は東海林に仕事を教わり、一応の研修期間は終わった。
奈々子は久しぶりに仕事帰りに、看護学校時代からの友人であり、
同期でもある佐々木亜美とご飯に行くことにした。
亜美からは珍しく居酒屋ではなく、もっと落ち着いたところに行こうと言われた。
「お疲れー!!!どう内科は?東海林君と一緒なんでしょ、良かったね。」
「うーん、今のところは問題なしかな。研修期間終わったばっかりだし、
短期間で何かあったら最悪だよね。亜美は脳神経になったんでしょ?どう?」
「あー・・・今、結構キツイんだ。」
「やっぱり!配属になったことないけど、なんとなく想像できるよ・・・。」
「まぁ仕事内容もキツイんだけどさ、実は今、つわり中。」
「えっ?!亜美、妊娠したの?おめでとーーーっ!!!今何か月?」
「ありがと。まだ2ヶ月。」
「そっかぁ〜。じゃあ禁煙の店にしよ。でもつわりならご飯食べられないんじゃない?
大丈夫?飲み物だけ飲んで帰る?」
「じゃあお言葉に甘えて・・・その辺のカフェでいい?」
「いいよ、いいよ。そうしよう。」
二人は職場近くにある、カフェテリアに入る。
「亜美もお母さんかぁ。産まれたら抱っこさせてね!あ、出産祝い何にしようかな〜?」
「もう、気が早いって!」
「旦那さんも喜んでるでしょ〜?里帰り出産にするの?職場復帰はするの?」
「んー、まだ決めてないけど、うちの病院はやめとく〜。なんか恥ずかしいしさ。
仕事は続けるつもり。なんだかんだでお金もかかるでしょ?
今のうちから保育園探そうと思ってるんだ。」
親友のおめでたい話題に、奈々子は自然と顔が緩む。