葵の父親-14
数人の医師へ挨拶を済ませ、最後の医師の部屋に近づくと、東海林は小声で言った。
「前言ったの覚えているか?小田先生って。」
「んー・・・。あ、東海林君が憧れている先生?」
「そうそう!めっちゃカッコいいから、ビックリすんなよ。」
「あぁ、イケメンだって言ってたね。」
「お前さぁ〜・・・あんまり興味ないの?先生目当ての患者だっているし、
ナースたちだってカッコいいって騒いでるんだぜ。」
「そんなにカッコいいなら、奥さんいるんでしょ。恋愛対象になんかならないよ。
それにドクターって一癖あるでしょ?」
「それが、非の打ちどころがないんだって!
まぁ、お前は彼氏と上手くいってんだから、何言ってもダメか。
まぁいいや、じゃあ行こうぜ。」
皆が色めきだつほどのドクターってどんな人なんだろう?
そう思いながら奈々子は、東海林の後に続いて小田医師の部屋へと入った。