第20章 美弥の悲しみ-1
第20章 美弥の悲しみ(1)
次の日の朝も、美弥は婦人科の診察台の椅子にくくりつけられていた。
この姿勢で何回朝を迎えたのかもう美弥にはわからなかった。
今朝は股間にヌルヌルした感じがあった。直接見たり触れたりできなかったが、早いサイクルで生理が始まっていたことがわかっていた。
焼き取られたクリトリスには、依然としてズキズキとすごい痛みが残っていた。
「ううん。……ああっ……」
「気が付いたようね。あなたのクリトリスはもう無くなってしまったわ」
「ううっ。……いつつっっぅ」
激烈な痛みが股間を襲っていた。美弥は急に現実に戻った。額には脂汗が浮いていた。
痛みに耐えながらことの成り行きを思い出していた。
クリトリスにニクロム線が巻かれたあとで、マヤが秘裂に触れてきたのだった。久々の股間への刺激がたちまち美弥を現実の世界から天国に連れていった。クリトリスには触れなかったが、膣に冷たい指が入ってきた。
「さあ、思う存分感じなさい。うんと濡らすことね。でも気をやってはいけないわよ。……だってあなたのクリトリスが今どういう状態かわかって」
「ううう。……いやっ。触らないで」
「クリトリスに巻きついているのはニクロム線よ。気をやるとき、女って仰け反るでしょ。それが最後よ。頭の後ろにスイッチがあって、クリトリスに電流が流れるのよ」
「いやぁ……」
「そりゃそうよね。たちまち根元が焼けこげるわよ。どんなになるのかしらね。あなたが初めてだけれど。……まぁ、あなたが小さなクリトリスの持ち主だったことを感謝するのね。でも小さくても焼ければやはり痛いわよ」
「あぁぁ……やめて」
「ふふふ。逝かないで我慢よ。……できれば、だけど……どう?」
美弥は歯を食いしばって耐えていた。マヤは膣に入れた指を二本にした。
「いつまでもつかしら。せいぜい耐えるのね。……こっちは刺激するだけだから気が楽よね。……あら、締まってきたわよ。そんなに指を締め付けて、いったいどうしたのかしらね」
「ううっ。……ああん」
「キュッ、キュッとすごいじゃない。そんなに気持ちいいのかしら?」
最初はクリトリスへの電撃を恐れてマヤの誘いには乗らないつもりだった美弥も、やはり女だった。マヤの経験豊かなテクニックには勝てなかった。
膣に入れられた指の動きが、なによりもGスポットへの直接の刺激が決定打だった。ここを刺激されてはどんな女も逆らうことは不可能だった。二本の指が膣の中で曲げられ、上側の膣壁を押すように掻き上げている。
「ああぁぁ……いやぁ。……ひいぃぃ」
「ふふふ。やはりここね。……背筋がビクビク痙攣するわね。……ここ、いいんでしょう。……ほら」
「ああん。いやん。……ああっ。しっ、……ないっ、……でえぇ」
「あら、声が震えているじゃない。……どうしたの。……ええ?」
「いいいいぃ。……ふうぅ。はあっ。……ううう」
「どう。……すごい感じ方じゃない。ビクンビクン身体が波打っているわよ。……ユキ!見てごらん。……この汁の垂れ方。並じゃないわね」
眉根を寄せて苦しそうな顔をしていた。かき混ぜられた蜜液は真珠色に泡だって肛門の方へ溢れていった。
「ううぅぅ……」
「そんなに力んじゃって。まあ。感じるのはいいけれど。……でも締め付けがきついわね。指が折れそうよ」
「あっ。……ふぅぅ。……ああっ。……いいいぃ」
マヤは指の動きを止めると、たちまち膣壁が緩んでいった。マヤの指に外の冷たい空気が感じられた。
「いよいよ最後ね」
「ひいぃ。……いやっ、……よぉ」
「いいわね。……さぁ、クリトリスを失いなさい」
「あああっ」
マヤが最後の刺激を与え始めた。グッ、グッとマヤが力を込めると、また美弥の顔が歪みだした。眉根がより、しかめっ面になり始めた。鼻翼が左右に大きく膨らみ、真っ黒な鼻孔が全開になった。口がだらしなく開き始めた。
「おやおや、ゴールインね。昇天顔になっているじゃない。……どうして女って、よがるときはいい顔しても、最後は醜くなるのかしらね。……さあ、とどめを刺してあげようかね」
マヤが指の抽送を早めた。
「ああっ、……もうだめぇ」
ガクガクと身体が跳ねるように痙攣した。太股と腹部にさざ波が走った。背骨がブリッジ状に跳ね上がった。縛られた手足は縮めるようにブルブル震えていた。
手足を結わえているベルトが軋んだ。
そして頭が仰け反った。
美弥は声にならない掠れた声を上げていた。その瞬間、股間の頂点のクリトリスの根元が赤く輝きだした。ジュッという音と共に白い煙が立ち上り、蛋白質が焼ける臭いが漂った。
その瞬間美弥は気を失ったのだ。
股間からはおしっこが飛沫いた。肛門からは褐色の塊がポトリと垂れた。
気を失っている間にニクロム線は外され、灰色に変色したクリトリスの先端は、ピンセットでちぎるように取り除かれた。出血はほとんどしていないようだった。
殺菌剤を含んだ痛み止めの軟膏が塗られていたが効果は薄かった。
クリトリスを焼かれたときは気を失っていたが、気が付いたときには火が出るような痛みがあった。ジンジンと脈打つような痛みが股間から全身に拡がって、一晩中呻き続けていたことを思い出した。。
<第20章 美弥の悲しみ(1) 終わり この章つづく>