投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

追憶のアネモネ
【その他 官能小説】

追憶のアネモネの最初へ 追憶のアネモネ 59 追憶のアネモネ 61 追憶のアネモネの最後へ

JK(後編)-6

「だって、先生に嫌われたくなかったんだもん……」

「嫌いになったりするもんか」

「うん……」

「でも、好きだなんて言わないからな」

「うん、それでもいい……」

彼女の髪をやさしく撫でてやると、桃の果実のような甘い匂いがほんのりと漂ってくる。

学校にいれば嫌というほど嗅がされる、女子高生たちのフェロモンの匂い。

だがこの子は、奄美梨花の匂いには麻酔効果がふくまれているようだ。

体中のあらゆる部分から分泌される女の子の匂いに惑わされる。

僕はそれを胸いっぱいに吸い込み、もう一度彼女の唇を盗んでむさぼった。

そのままソファーに押し倒し、またキスをして、それから僕らはベッドの中で一つになった。

性交渉は初めてなのだと奄美梨花は恥ずかしそうに告白した。

けれどもお互いの深いところで繋がれているうちに、彼女の表情の一つ一つに恍惚が浮かぶようになり、途中からはかなり積極的に求めてきた。

二人とも全裸だった。

相手は未成年だから避妊をしなければならない。

しかし僕は避妊具を用意していなかった。

それとなく膣外に射精しようと思っていたけれど、そのまま来て欲しいと彼女に懇願された。

「先生……、好き……、大好き……」

あえぎ声のような彼女の言葉を聞き、僕は理性を投げ捨てた。

頭の中は真っ白だった。

罪悪感すら蜜の味がする。

しかし奄美梨花の中にすべてを吐き出した途端、取り返しのつかないことをしてしまったと思った。

そんな僕の腕枕の中で彼女はとても幸せそうに微笑んでいた。

初体験の余韻を噛み締めているのかもしれない。

僕はといえば、レモネードみたいな彼女の肌の味を、舌の記憶を頼りに思い出していた。

そこで僕のお腹がグウっと鳴る。

そういえばお昼ご飯をまだ食べていなかった。

我慢できなかったのか、となりでは彼女がくすくす笑っている。

教師を笑うとは何事だ、とふざけながら窓をちらりと見た。

雪は相変わらず降りつづき、そこで僕はある重要なことに気づく。

「奄美、自転車はどうした?」

すると彼女は小さな悲鳴を上げた。

「あー、やばーい!」

どうやら彼女の大事な自転車は、この大雪の中に置き去りにされ、持ち主の帰りをじっと待ちつづけているようだ。

しかし彼女は言った。

「先生に責任を取ってもらうからね」

この言葉の真意が果たしてどこにあるのか、致命的なほどに鈍感な僕などが知る由もない。

ただし、これだけはわかる。

今年のクリスマスイヴは奄美梨花と過ごすことになりそうだ、と。


追憶のアネモネの最初へ 追憶のアネモネ 59 追憶のアネモネ 61 追憶のアネモネの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前