凌辱姫-8
本来は実体を持たないアポカリプスですが、目の前の魔神はあきらかに人の姿をしていました。
ベラが階級の低い魔法使いだったなら、ひとたまりもなかったでしょう。
「アポカリプス、おまえの忠誠心を私に見せなさい」
ベラは花をモチーフにした着衣を自ら脱ぎ去ると、ビスチェで飾っただけの美しい肢体を魔神に差し出します。
アポカリプスは目と口を吊り上げて笑いました。
そしておそろしく太い男性シンボルを、ベラの中にゆっくりとはめていきました。
「あぐ……、うん……、そうよ……、それでいいの……」
アポカリプスに抱きかかえられたまま、ベラは静かに瞼を閉じて恥辱に堪えます。
ずんずんずんと突き上げられる感覚、ぐらりと脳が揺れる感覚、女の部分を蹂躙(じゅうりん)される感覚に酔いしれるのです。
ベラはもう涙声であえぐことしかできません。
「あっ!あっ!あっ!んっ!やっ!あっ!」
そうするうちに夢見るようなオルガスムスがやってきて、ベラは子宮でやさしい福音を聴きました。
それは聖母の歌声でしょうか、女神のささやきでしょうか。
かつてないほどの快感の中で、ベラはアポカリプスのすべてを胎内に飲み込み、やがてキマイラとなって生まれ変わるのでした。
こうしてベラは魔女になったのです。
黒い髪と赤い唇を手に入れ、白い裸体にはあでやかな紋様が浮かびます。
魔女はそこにユートピアをつくりました。
魔物のいない楽園ではなく、魔物たちと淫らに戯れるための楽園を。
キマイラのような魔女があらわれた、という噂は、たちまち王の耳にまで届きました。
おそれていたことが、とうとう現実になったのです。
「ベラ、どうしてなの……」
悲しみに触れた王妃は、そのまま病床に伏せってしまいました。
いたたまれなくなった王は言いました。
「我が娘、ベラ王女を救い出した者には褒美をとらせよう。だが相手は仮初めの魔女ではない。皆、心して向かうがよい!」
こころざしをたぎらせた直属の精鋭部隊を筆頭に、腕におぼえのある男たちが我先にと魔物退治に向かいます。
剣を持つ者、鳥獣を引き連れる者、素手で立ち向かう者、武器にも戦い方にもさまざまあります。
もっとも、肉弾戦ならこちらのほうが有利でしょう。
ところが、待てども待てども誰一人として城へ帰って来ません。
妃のそばを片時も離れられない王は、かの地へおもむくこともできず、どうしたものかと口髭をたくわえた顔を歪めます。