我ら純情中学二年生-8
「それじゃあ、いくよ?」
理乃がスカートの裾を摘んで、ちょっぴりはにかむ。
太ももはすでに露わになっているが、太ももの先の景色を彼らはまだ知らない。
ただじっとして、スカートが上がっていくのを見ていた。
やがてむっちりとした輪郭があらわれると、スカートの陰から理乃の陰部がちらりとのぞいた。
丸みを帯びた下腹部の真ん中に、小さな割れ目が見える。
「なにか見える?」
いい匂いを放ちながら理乃が訊いてくるので、豊は危うく理性を失いそうになった。
いや、もうすでに自分を見失いつつあり……。
「俺、前からお姉さんのことが……」
「きゃっ!」
豊に押し倒された理乃が短い悲鳴をあげる。
尻餅をつき、その拍子にM字開脚の格好になった。
その対面で豊が目をぱちくりさせる。
ずっと思いつづけてきた理乃の大事な部分が、まんまのかたちでくっきりと見える。
それは太陽マークというよりも、映画の特殊メークに近いかたちをしていた。
躊躇している時間は一秒たりともなかった。
理乃の陰部に触れたい豊はびびりながらも手を伸ばし、無防備に花を開いているそこへ指先を近づけていく。
先のぱらぱら漫画みたいにコマ送りで接近する少年と少女。
そしてついに交わってはならない二つが交わろうとしていた……が。
「達矢っ!」
いきなりとなりの部屋から大声が聞こえてきた。
母ちゃんの声だ、と達矢は慌てて立ち上がった。
ふざけていた理乃たち四人も揃って姿勢を正す。
「どこにいるのっ!」
ふたたび怒声が響き渡り、身の危険を感じた達矢は姉の部屋を飛び出していた。
おそろしい形相の母親が仁王立ちでそこにいた。
「まったくあんたって子は、勉強はどうしたのっ!」
そう言って母親から突き付けられたものを見て、達矢は困惑した。
それが例の質問ノートだったからだ。
返す言葉が見つからず、達矢がおろおろしていると、彼のズボンのポケットから生理用品が落ちた。
今度こそまずいと思った。
「どうしてあんたがそんなものを持ってるのっ、ちゃんと説明しなさいっ!」
火に油である。
その一部始終を理乃たちも見守っていた。
追い込まれた達矢の言い訳は、果たして……。
「お、俺、生理になっちゃった」
達矢のその冗談に反応を示す者は誰もおらず、女性ホルモンの謎も次回までの宿題となってしまった。