我ら純情中学二年生-6
スカートが短いとかパンツが見えそうだったとか、達矢の舌もだんだん滑らかになってきた。
それに従い、豊が抱いている理乃たちへの思いも募っていく。
今日こそは絶対に女体の神秘を紐解いてみせるのだ。
そんなふうに前のめりになっていた時、ドアをノックする音が二人の耳に届く。
「ノートを持ってきたよ」
それは理乃の声ではなかった。
達矢らが反応できずにいると、ふたたびドアが叩かれる。
「ねえ、中に入れて欲しいんだけど」
それを聞いた瞬間、豊は変な汗をかきながらエロ本を開いた。
あった、これだ──過激な性描写をほどこした漫画が掲載されている。
登場人物の女性が自分の局部をいじくりながら、「おねがい、中に入れて」という台詞を言っている。
「すげえ……」
「すごい……」
いつの間にか達矢も横からのぞき込んでいる。
「早く入れて」
漫画とは違い、生で聞くその台詞の破壊力に、中学生の二人はノックアウト寸前だった。
その直後である。
おじゃまします、と言って誰かが部屋に入ってきた。
「返事がなかったから、勝手に開けちゃった」
あらわれたのは一人の女子高校生だった。
こんにちは、と豊が咄嗟に応じるが、彼の手にはまだエロ本があった。
「それってエッチな雑誌でしょう?」
「ち、違います……」
鋭い指摘に言い訳が間に合わない。
「あたしにも見せて?」
彼女は豊の手から本を拝借すると、意地悪っぽく微笑みながらページをめくった。
彼女の自己紹介によれば、理乃のクラスメートで来栖美(くるみ)という名前らしい。
「君たちくらいの男の子って、もうこんなの見てるんだ」
感心と好奇の入り混じった口調で来栖美が言うので、豊と達矢はどぎまぎした。
どうやって来栖美に接したらいいのかわからないからだ。
風もないのにやたらとひらひら揺れるミニスカートは、その奥にあるものをいたずらに期待させるから困ったものである。
「そのノートに書いた質問のことなんですけど……」
豊がぽつぽつと切り出す。
すると来栖美がノートを突き返してきた。
「やり直し。ていうか、あたしらに直接訊いたらいいじゃん」
それができないからノートに書いたんですけど、と豊は言いたかった。
来栖美はノートを開き、質問を読み上げる。