両方好き-3
強すぎず冷たすぎない優しい風が私たちを包み込む。
「真彩、寒くないか?」
「えぇ、大丈夫よ。」
私は佐伯君と肩を並べ静かな夕暮れの公園を歩く。
「昨日はお疲れさま、あぁ一昨日もか。」
「旅行の事か。」
「でも予想外だったわ、まさか一泊するなんて。」
「御免、心配掛けて…、本当は昨日こうして北海道に行く予定だったのだが。」
「良いのよ、貴方も楽しそうだったから。」
ケータイには常に彼から送られてきた旅行の写真が納まっている、どれも幸せそうな笑顔が一杯。でも小鳥遊君とべたべたしてる写真が多すぎるような…。
「随分小鳥遊君と仲が良いのね。」
「あぁ、アイツはとっても良い奴だ、可愛らしいし、優しくて、俺アイツの事大好き。」
「ふーん。」
先程彼宛に小鳥遊君からメールが来たのを思い出したようにハッとし。
「御免、別に大好きって言ってもただ親友として。」
「ふふっ!分かってる、信じてるよあたるの事。」
「でも…。」
「まぁ限度が過ぎたらあれだけど大丈夫よ、あたるがそうして幸せに笑っているなら私は別に良いよ。」
「真彩。」
「私ね、貴方の笑った顔がだぁーい好きなんだ。」
元カノ、親友、今カノ、3人の人間からそう言われて、思わず笑みが。
「うんっ!その顔その顔!とっても素敵だよ!」
「ありがとう。」
やっぱ良いな、皆からこうして自分の幸せを願ってくれるとか、俺皆から大事にされているんだな、何か凄い嬉しいな。
「それにしても本当に来てくれたんだね、ここまで来るの大変だったでしょう?昨日の旅行疲れに移動費だって。」
「疲れ何て一晩寝ればすぐに取れる、移動だって確かにお金は掛かるけどバイトして慣れれば大した事ない。」
「でも…。」
「言ったろ?必ず貴女に会いに行くって、真彩に会えるならバイトだってへでもないし疲れだって…、俺は幸せ者だ、大好きな親友が来てくれて、その次の日はこうして大好きな
恋人と会えて。」
「あたる…。」
皆には感謝してもしきれない。俺は立ち止まり彼女に言う。
「なぁ、真彩。」
「うん?」
俺は一歩彼女に近寄り。
「キス、してもいいか?」
「っ!……うん。」
そして俺は木を背にする彼女の唇にそっと自分のを触れた、両肩をに触れ。
「ん…。」
「真彩、好きだよ。」