第16章 胎児の交換-1
第16章 胎児の交換(1)
妊娠六か月の芳子はX字の形に壁に立たされていた。両手は斜め上方に伸ばして、両足は大きく左右に拡げられ、それぞれ手首、足首が金具に固定されていた。妊婦姿が苦しいのか、恥ずかしさに耐えきれないのか身体がくねり、苦悶の表情が表れている。
妊婦として見て欲しくないところ、そして守らなくてはならないところがすべて晒されていた。
筋肉質だったお腹は、下半分が大きくプックラと膨らんで飛び出していた。ベンベンとして、スイカのような縦の縞模様の妊娠線が見えていた。
そして小ぶりな二つの乳房も、一応は妊婦らしく根元から膨らんでだらしなく垂れかけていた。なにより目立ったのは、乳暈が大きく黒紫色になっていて、中心には太く大きな乳首が黒く飛び出していたところであった。
さらに見られて恥ずかしいのは剃られて間もなく、満足に伸びていない翳りに隠しきれない女の溝であった。全体が茶褐色に変わり、ぶよぶよと腫れぼったくなっているのが正面からみてもわかった。溝の下からは、だらしなく黒褐色に色づいた小陰唇が飛び出て垂れていた。ぽってりとしたクリトリスも顔を半分出しているのが見えた。
「いやッ。お願いだから触らないで」
先ほどから所長と三人の男が取り囲み、妊娠で変わった女の身体を批評しつつ、交互に笑いながら無遠慮に女の溝に指を入れてかき回したり、大きな腹部を触ったり、女子高生並みの乳房を揉みしだいたりした。
可愛らしく膨らんだ乳房を根元からしごくとお腹の子のための半透明の乳が滲み出てくるまでの時期に達していた。
男たちはそれを確かめるように、順繰りに乳房をしごいては乳を搾りだした。しごく度に芳子の身体が快感にくねった。
検査の結果、芳子の胎児はやはり死亡していた。
中絶薬がゆっくり効いたのかもしれないが、原因は不明である。とにかく死んだ胎児は早く取り出さなければいけなかった。
男たちの目の前で、芳子は女として恥ずかしいことを強いられていた。
すでに十分過ぎる量のグリセリンを体内に納められていて、さらにアナルストッパーで排泄の自由を止められていたのだ。下腹部の膨らみは妊娠だけのせいではなかったのだ。
先ほどから大きな腹部と乳房を揺すりながら苦悶していたのはそのためだった。眉根が寄って切なそうな声の混じった息を吐いている。
「お願い。出せせて。……もう苦しいんです。……ねぇ」
「まあ、気休めになるから何回言ってもいいがな。……あと十五分は我慢だ」
何度もトイレに行くことを哀願していたが無視された。
三十分の我慢が要求されていた。その間、男たちに触れられていたのだ。
マヤが太く長さ一メートルほどの革の鞭を手に入ってきた。芳子を鞭で打とうというのだ。
妊婦の鞭打ちは、危険なので普通はできないが、この芳子の場合は胎児が死んでいるので思いっきり鞭で打てるのだ。
マヤがブーンと鞭を振り床を打ち据えた。
バーン。
大きな音がして床が鳴った。
鞭の発する大きな音で芳子がおびえた。
「怖いわ。……しないで」
小さな声で芳子が訴えた。マヤはもう一度鞭をブーン振った。
今度は芳子の大きな腹部に飛んだ。
ベシッ
潰れた音と共にヒュンと芳子の身体に鞭が巻きついた。大きな腹部に蛇が這っているようだ。
「ううんん。……痛っ……あぁぁ」
マヤが手を弛めると、鞭も弛んで外れ、芳子の足下に落ちた。そして芳子の腹部にはしっかりと赤く鞭の後が残った。
「さあ、皆さんもどうぞ。妊婦の鞭打ちなんてめったにできませんことよ」
マヤは男たちに鞭を手渡した。男たちは我先に鞭に飛びついた。手にした男は最初はおそるおそる叩いた。バシッという音と共に鞭が貼り付く。
「ああん……うん」
最初は手加減していても、やがて興奮してついに芳子に大声を上げさせていた。
十数回は鞭を腹部に受けただろうか。すでに芳子の大きく飛び出た腹部は、真っ赤な筋が付いて、腫れ上がってしまった。
「ぎゃっ……ううっ……痛っっ……」
ひときわ大きな甲高い叫びが聞こえた。縦に鞭が飛んで、先端が芳子の鋭敏な尖りを叩いた。芳子は動けない身体を不自由そうに捻って悶絶している。
「ああっ……だめぇ……」
伸びかけの短い逆三角形の黒い翳りの端から見える、垂れた小陰唇が震えている。ゆっくりと丸まった小陰唇が膨らみ、突然キシュゥゥッという音と共に鋭い銀線が飛び出した。静寂を破るようなドドドッという床を叩き付ける音に変わり、派手な放尿が始まった。
男たちが構えるカメラのシャッターを切る音がした。芳子はフラッシュが光る度に顔を背けた。すさまじいほとばしりで、恥ずかしい時間が長く続いた。
放尿が本格的に始まっているにもかかわらず、次の鞭が腹に飛んできた。身体をくねらせるたびに、尿が飛び散った。女の甘い尿臭が鼻をくすぐる。
「アヌスマニアね……」
マヤが呟いた。
我慢している芳子の秘裂には、悦楽の蜜が溢れんばかりにたたえられているのを、マヤは見逃さなかった。
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