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Sincerely -エリカの餞-
【二次創作 その他小説】

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010 殺らなきゃ殺られる・1-4

 まずは、晶の盟友であり悪友であり好敵手でもある男子生徒──乃木坂朔也(男子十三番)、彼が必要だ。阿吽の呼吸が通じる唯一無二の存在で、まるで自分の体の一部みたいに妙に馬が合った。初めて出会ったのは宍銀中に入学する少し前のことだった。近所の土手道を幼馴染みのコーキと散策がてら歩いていた時だ、よく覚えている。サッカーが得意な幼馴染みは地元の中学校への入学祝として両親に買ってもらった新品のサッカーボールを、見せびらかすように足の爪先で操っていた。晶は幼馴染みの数歩後ろを、黒いパーカーのサイドポケットに手を突っ込みながら小石を蹴るようにして歩いていたのだが、土手道の一直線先、藍色のマウンテンバイクがオニヤンマのように颯爽と向かってきていた。お、あの自転車かっこいいな──おいおい、コーキはあれが目に入っているのか? まさか轢かれやしないだろうな──内心ひやひやと幼馴染みの様子を見守っていた晶は、マウンテンバイクの警音器がちりんと鳴ったのを合図に運転者を見た。少年だった、同い年くらいの。マウンテンバイクの接近に気付いた幼馴染みがサッカーボールを腕に抱え上げ道端に避けた。晶は、まるで吸い寄せられるようにその少年を見詰めていた。目線が交わり合い、凍ったように見入っていた。一陣の風がさっと脇腹を通りすぎるまでの僅か数秒の出来事であった。瞬間的に、かわいい女の子ならともかく男相手になにをしてるんだ、確かに綺麗な顔立ちをしていたけども、と自嘲したが何故か妙に気になった。漠然と、あいつとは良い付き合いが出来るなと直感的に思った。かくして入学式当日、同じ教室にて一際目立つ端麗な顔を発見した時直感が確信となった。それが、乃木坂朔也だ。同じように時を過ごして、同じように笑い合って、そして、同じ女性に心惹かれていった。
 ……ともかくだ。信頼出来る仲間が必要だ、なるだけ大勢の。中でも乃木坂朔也とは最優先で合流したい。慎重な戦いになる。一連の作業に当たって仲間たちをフォローする役割は晶よりも彼の方がずっと向いているし、語らずとも意思疏通が出来る存在なんてのは他にいない。朔也と合流した後は現在残っている他の面々にも声を掛けたい。プライベートでも親交のある間宮果帆(女子十五番)や八木沼由絵(女子十九番)、和歌野岬(女子二十一番)はもちろんのこと、新垣夏季と普段つるんでいる本堂空太や森下太一。そして、目黒結翔(男子十八番)と、竜崎圭吾。この二人は大丈夫だろうし、運動部に所属していただけあって体力的にも申し分ない。特に竜崎圭吾はかなりの野球バカで、中学三年生とは思えぬほどその肉体は鍛え上げられていた。


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