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honey
【純愛 恋愛小説】

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honey-2

視線を外にそらし、頬杖ついた私にあなたは言った。

「じゃあ、オレは?」

突然のセリフに私は怪訝そうな表情をしてたに違い無い。

それでもあなたは満面の笑みで自分を指しながらもう一度同じセリフを言った。

「オレは?」

友人として付き合ってはきたけど、そんな奇妙な提案をまさか私にしてくるとは思わなかった。

相変わらず険しい表情で聞く。

「なんで?」

「気心知れたオレなら、長続きするかもしれないじゃん。スタートもゼロからじゃないっしょ?」

そりゃそうだ。でも恋愛感情を抱いたことない人に私は付き合う気もなかった。

真っすぐに私を見る目。その崩さない余裕の笑みに、私はじょじょに流されていくのが分かった。

「好きじゃない人つきあえない。」

まるで拗ねるような最後の抵抗。あなたは当たり前のように私に言った。

「じゃ、好きになればいい。」

なんてムチャクチャな!そう思ったけど、ごく当たり前のように言うから圧倒されてしまった。

それ以上に、だんだんこの駆け引きが楽しくなってきてる。

「私があなたを好きになるのに何が必要?」

最後の札だった。試すように私はあなたを見つめる。それでも、あなたは余裕の態度を崩さずに笑顔でこう言った。

「簡単さ。僕が笑えば、きみも笑えばいい。」

完敗。

その日から私たちの関係が始まった。なりきりの恋人が、いつのまにか本物になって、今では私たちは夫婦になっている。

不思議ね。あなたとなら、いつまでも言葉が無くても一緒にいられる。

 たとえば、この木漏れ陽の下。あなたが傍にいることが、何よりも安心で、何よりも愛しい。

ねえ、この先。

私がしわくちゃになっても、あなたがしわくちゃになっても、手を繋ぎましょう?

私の傍で笑っていて。

そんな幸せ、考えるだけで嬉しくなってくるでしょ?


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