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伊藤美弥の悩み 〜受難〜
【学園物 官能小説】

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齋藤春宮の悩み 〜想い、花開く〜-2

 紘平も交遊関係上、秋葉の彼女で瀬里奈の友達である輝里の顔は知っているが……男に対して、物凄く奥手そうな立ち居振る舞いをする。
 そんな子が、秋葉と最後まで一気にイッた。
 一体どうやって丸め込んだのかと、紘平は興味津々である。
「ど、どうやって口説き落としたんだ?」
「んぁ?」
 不審そうな顔をする秋葉へ、紘平は重ねて問い掛ける。
「いやだからどうやって芝浦さんと……」
「とぅ。」
 龍之介は、紘平の後頭部へ軽いチョップを振り下ろす。
「お前なぁ……同じ事、秋葉に聞かれたいか?」
 問われた紘平は、返答に詰まった。
「んじゃ聞くなよ。あんまり込み入った事」
 軽はずみな行動をしがちな紘平の面倒を見るのは骨が折れるため、龍之介は釘を刺す。
「そうだな……悪かった」
 あっさり自分の非を認め、紘平は秋葉に謝った。
「い、いや……」
 龍之介が紘平を教育している場面を目の当たりにし、秋葉は目を白黒させる。
 輝里と瀬里奈繋がりで打ち解けた紘平が、龍之介の恋人である美弥の幼馴染みだというのは小耳に挟んだ事のある秋葉だが……あの時に、何があったのかまではさすがに知らない。
 だから紘平が龍之介に逆らえないのは何故か、理由を分かっていなかった。
「ところで龍之介」
 気まずくしてしまった雰囲気を払拭するように、紘平は龍之介へ話題を振る。
「美弥とは、どうなってる?」
 その言葉に、龍之介は目をぱちくりさせた。
「どうって……」
「暇がなくて、コミュニケーションが取れてないんだろ?解消できたのか?」
 以前の相談を覚えていた紘平は、そう続ける。
「いや……まだ解消できてない」
 不機嫌に、龍之介は答えた。
 あのやーらかくてすべすべのぷるぷるな極上の肌にむしゃぶりつき、あんな事やこんな事をしてコミュニケーションをたっぷり取りたいと、欲望は膨れ上がるばかりである。
「どうにも時間に足りなくてなぁ……あっさり済ませるならいいくらいの時間はあるけれど……それじゃ物足りないんだよ」
 龍之介が思わずこぼした愚痴を聞き、秋葉と紘平は顔を見合わせた。
 二人共、口が綻んでしまう。
「そうかそうか。じっくり時間をかけて、お互いのコミュニケーションを謀ればいい訳ね」
 感心した口調で、秋葉が言った。
「……!!」
 口を滑らせた事にようやく気付き、龍之介は二人を交互に見る。
「いやいや、参考になったわ。ありがとさん」
 にやにや笑いながら、紘平は龍之介の肩を叩いた。
「よし。今度輝里と試してみよう」
「俺も。瀬里奈とゆっくりしてみるわ」
 
 
 数日後。
「ふーん……」
 微妙な口調で呟く美弥を見て、龍之介は頭を抱えたくなった。
 ――ここは、龍之介の部屋。
 巴は旧交を温めるために近所の奥様方とディナーに出かけ、竜臣と竜彦は仕事のために家にもいない。
 竜彦の帰りは深夜になるだろうし、竜臣からは済ませたい仕事があるので九時を過ぎないと帰れないと、宣告を受けている。
 つまり、美弥を抱くなら今がチャンス!という訳で……龍之介は、つい先程までは鼻息が荒かった。
 たった今、龍之介は美弥の前でうっかり口を滑らせてしまい、この前巻き込まれた秋葉と紘平の猥談をばらしてしまったのである。
 面白くなさそうなその様子からすると……もしかしてお預けを食らわされるかも知れないと、龍之介は戦々恐々としていた。


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