葵の決意-8
次の家庭教師の約束の日、朝から葵は落ち着かなかった。
もしかして、今日俺は久実と最後までエッチな事するのだろうか?
期待と不安の渦が彼の頭の中を駆け巡る。
学校が終わり、一目散に自宅へ帰る。豹介に、そんなに勉強が好きなのか?
とからかわれた。豹介は中学に入ってすぐに陸上部へ入り、
期待の新人として扱われていた。
家へ着くと、葵はいつも通りに参考書を開いて勉強の準備をする。
家政婦もいつも通りダイニングテーブルにお茶菓子を用意しておいてくれていた。
そして約束の時間通りに久実は来た。
葵にとって、待っている時間がこんなに長く感じられる日はなかった。
「こんにちは。」
明るく玄関に入ってきた久実がコートを脱ぐと、
今日の彼女は胸元ががっつりと開いたシャツに、カーデガンを羽織り、
プリーツのミニスカートをはいていた。
嫌でも胸の谷間をチラチラと視界に入り、目のやり場に困る。
「今日は何やるんだっけ?数学?」
無邪気に問いかける久実に葵は一言しか答えられない。
「現国。」
「現国かぁ・・・。葵君この間テストで満点取ってたよね。」
「・・・うん。本読むのは好きだから。」
「―――じゃあさ、今日はこの間言ってた勉強しようか?ねぇ、心の準備は出来た?」
久実はいきなり本題に入ってきた。
葵もここまできてアタフタしたら男じゃないと決心したように、焦ることを止めた。
興味があることだし、しかも相手はいいなと思っている女の子だ。
「・・・うん。」