葵の決意-34
葵が今まで言えなかった過去を離し終えた頃、すでに時刻は19時を超えていた。
秋は日が沈みだすのは早い。あたりはすっかりと真っ暗になってしまっていた。
葵の話を聞き終わった豹介はしばらく何も言わなかった。
葵は豹介はきっと自分の事軽蔑しただろうな。と思いながら時計をチラッと見て
「こんな時間まで話を聞いて悪かったな。送っていくよ。」
と言うと、突然豹介が笑顔で葵に言った。
「ようやくお前が打ち明けてくれて嬉しいよ。
あ、嬉しいっても内容はショッキングだったけどさ。
俺、お前が話してくれるの待っていたんだぜ!!!」
今度は葵が何も言えなくなってしまった。
「過去に何があろうと、もう昔の話だろ?!今のお前、十分いい男じゃん!
奈々さんだって、この話聞いたぐらいじゃ、お前の事嫌いになんねぇよ。きっと。」
そう言われて葵の目から涙が次々と零れだしてきた。
「泣くなって〜!俺までなんか泣きたくなってくるだろ?!」
豹介はそう言いながら目頭が熱くなってきたのを悟られないように振る舞った。
葵はこの後、奈々子に自分の過去を打ち明ける決心が固まり、
久しぶりに彼女に話があるから会いたい。とメールを送ったのだった。