葵の決意-31
彼女は再び夕方になると出勤準備を始め、出かけて行った。
携帯を見るといつも通り豹介からメールが来ていたが、今日はいつもと違う内容だった。
“今、どこにいる?俺の家に来い、母さんと迎えに行くから。”
そんな事が書いてあった。
今の居場所を言えるわけがない。キャバ譲の家にいるなんて。
しかも豹介の家に来いって、家に泊めてくれるってことか?
考えても仕方がないので、再び葵はその辺にあった紙とペンで
泊めてくれてありがとうとメッセージを残して、この家を去ることにした。
豹介との待ち合わせ場所へ行くと、すでに彼と彼の母親が待ち構えていた。
豹介は葵の姿を見つけると駆け寄ってきた。
「葵!行くぞ!!」
豹介は葵の腕を掴み、彼の母親の前に連れて行った。
「葵君、これからしばらくウチで暮らしましょう?
あなたのご両親には了解を取っているから。
・・・もっと早く迎えに来てあげればよかったんだけど、
ほら、うち狭いでしょ?だから遅くなっちゃって悪いわね。」
豹介の母は早口で言った。
「さぁさぁ、早く家に帰ってご飯にしましょう!準備は出来てるのよ。」
「行こうぜ、葵!」
豹介は葵の腕を掴んだまま、彼の家に連れて行った。