葵の決意-27
こうして葵は二つ目の居候先を見つける。
この女は一人目の女とは真逆の生活を送っていた。
壁にはたくさんの彼氏との幸せそうな写真が飾られていた。
「お姉さん、彼氏いんのに俺を家に泊めてくれるの?怒らない?」
「んー・・?だって相手家族いるんだもん。大丈夫じゃない?
ってか、初めて見た時から思ってたけど、君すごい美少年だよね〜!!
超モテモテでしょ〜。」
不倫か・・・葵の頭に父親と新しい母親の顔がよぎる。
「そう?・・普通だよ・・・。」
「普通じゃないって!ホストやんなら、いい店知ってるよ!」
「未成年だから働けないよ。」
「大丈夫じゃない?今高3くらい?」
「中学生。」
「ちゅ・・中学生?!」
女は葵が自分が思ってた年齢以下で驚いたようだった。
「私が言うのもなんだけどさ〜、学校はちゃんと行っといた方がいいよ〜。
私、中卒でさ・・働くところなくって今キャバ譲やってんの。
もう普通の所は働けないだろうしさ〜、彼氏には奥さんと子どもいるしさ・・
この先どうすっかなぁなんて思ってんだよね。
せめて高校卒業すればよかったかなぁなんてさ。」
女はペラペラと自分の過去に付いて話し出し、気がつくと彼女の出勤時間が迫っていた。
「やっば〜!もうこんな時間!!遅れたら罰金取られちゃう!!
アオイくん、私これからセットに行ってそのまま店向かうから。適当にやってて!」
バタバタと彼女は出かける準備を始める。
「そうだ!さっきグチ聞いてくれたお礼にあげる〜!」
そう言って彼女は上機嫌で万札をそのまま葵に渡した。
水商売は普通の会社勤めと感覚が違うんだな。そう葵は思った。