葵の決意-24
この女の人との奇妙な同居生活が始まってから気がつくとすでに1週間経っていた。
そこでようやく携帯の充電が切れていたことに気がついて、
充電器を借り電源を入れてみると、友達たちからの連絡で埋め尽くされていた。
なかでも豹介は毎日何十回もメールと電話をくれていた。
“今どこだ?”
“大丈夫か?!”
“事件に巻き込まれてないだろうな?”
葵は豹介と会って無事を伝えることにした。
1週間ぶりに会う豹介は少しやつれていた。
豹介は葵の姿を確認して気が抜けたように、その場にしゃがみこんでしまった。
「大丈夫か?」
葵が豹介に尋ねると、彼は笑い出した。
「逆じゃね?それは俺がお前に言うセリフだよ!!」
「・・・そうだな。ごめん、なんか連絡できなくて。」
「それにしても、お前が生きててよかったーーー!!」
「うん・・とりあえず息はしてる・・・。」
「なぁ、今お前どうしてんの?学校は病欠になってる・・・。」
「・・・泊めてくれる人がいるから・・大丈夫。」
葵は言葉を濁したが、豹介は何かを感じ取ってそれ以上は追及しなかった。
「そうか・・・まぁ、お前が無事でいてくれて良かったよ。
俺もお前探してたんだけどよ、見つからなくてさ。
・・・聞きたくないかもしれないけど、お前の親父と継母って言うの?
その人もお前の事探してるよ・・・。お前がいなくなった夜すぐに二人でうちに来てさ。
警察には届けてないみたいだけど。」
「そう・・・。」
「俺からお前の親にお前は無事だって言っといてやるよ!
ただし、俺が連絡した時はちゃんと返事しろよ!!」
「うん・・・ありがとう・・・。」
「ちゃんと携帯は毎日充電しろよ!」
「あぁ、約束する・・・。」