葵の決意-21
その親切な女の人は言った通り6時過ぎに帰ってきた。大きな紙袋を抱えて。
「葵君、ただいま!あれ?出かけなかったの?」
「うん・・・。」
彼女がテーブルの上を見ると、ごはんとみそ汁と何かの炒め物らしきものが乗っていた。
「もしかして、ごはん作ってくれていたの?!」
「・・・作ってみたけど、初めてだからおいしいかわからないよ・・。」
自信がなさそうに葵は言ったが、彼女はすごく嬉しそうだった。
「わ〜ありがとう!ごはん作ってくれているとは思わなかった〜!!
そうそう!これ、葵君に。服もないんでしょ?サイズわかんなかったけど、
とりあえず大きそうなの買ってきたよ。葵君背高いから。
私今の男の子がどんな服好きなのかわからなかったから、
若い店員さんに選んでもらったの。」
そう言いながら、紙袋を葵に渡す。
袋の中には数着の下着と服が入っていた。
「いいの・・・?もらっちゃって。」
「いいの、いいの。困ってる子を見放すわけにはいかないでしょ?」
彼女は葵をもてなして満足しているようだった。