葵の決意-16
怒りを納めるように手当たり次第に走った。行く当てなんかないのに。
しばらくして河原に辿りつく。無意識のうちに久実の家のすぐそばに来ていた。
会いたい。久実に会って抱きしめてほしい。
そう思って携帯を取り出して彼女に電話すると、すぐに彼女は家に来るよう促した。
心配そうな久実が出迎えてくれると、夢中で葵は久実を抱きしめた。
気がついたら彼の目からは涙がこぼれていた。ポタポタと床に落ちる。
「葵・・・何があったの?」
久実も震えながら泣く葵を抱きしめる。葵は答える代わりに激しく久実の唇を奪った。
「今すぐ久実を抱きたい!!ずっと好きだったんだ!!!俺を受け入れて・・・。」
自信はあった。久実も自分に好意を抱いてくれていると。
しかし久実はそれを拒否した。
「ダメだよ、葵。それはもうちょっと待って?」
「何でだよ?!久実だって俺の事嫌いじゃないだろう?!」
思わず声を荒げてしまう。
「嫌いじゃないよ。でも今はダメなの!私の問題が解決して、
それが叶わなかったら葵と最後までエッチしてもいいよ?」
言っている意味がわからない。
「は?どういう意味・・・?何言ってるんだかわかんないんだけど。」
「ん〜・・・。今言わないとダメ?」
「訳わかんねぇよ・・・。」