知らされた過去-2
時刻は19時をまわっていてちょうど夕食を摂る人々でレストラン街は賑わっていた。
「せっかくだから何か食べません?私おなかすいちゃった。」
早く帰りたいのに、この子どのくらい私を拘束する気なんだろう?
と奈々子が考えていると久実は笑いながら言った。
「あ、そんなに困った顔しないで下さいよ〜。とりあえずここに入りましょうよ。」
半ば強引に久実は奈々子を数々のサンドイッチやピタなどの軽食が食べられる
カフェに誘い、注文を済ませて奥の席へと座った。
奈々子は頼んだ紅茶に手を付けずにパンを頬張る久実に切り出す。
「話って何ですか?」
「―――彼女さんって葵がどんな男か知ってます?」
「どんなって・・・どういう意味?」
「そのまんまの意味ですよ。あいつの育ってきた境遇とか〜。」
「本人から聞きましたけど。」
「ふぅん。」
久実は意地悪そうな目つきで奈々子をまじまじと見つめた。
「それじゃ、葵の初恋がどんなんだったか聞きました?」
初恋・・・?この子は何で私に突っかかるような事言うんだろう。
この子葵君の事が好きで今でも忘れられない・・・とか?
黙っている奈々子に久実は続ける。