初めての彼女?-6
何気なく奈々子がそう言うと、葵から笑顔がふっと消えた。
奈々子は何かまずいことでも言ってしまったのだろうか、
と不安になり慌てて取り繕った。
「あ!それよりさ、ゆかり達にいつ言おうか?」
奈々子は話題を変えようとしたが、葵は黙ったまま何かを考えているようだった。
ますます奈々子は不安になってしまう。
(もしかして、この間の女の子と何かまずい事でもあったのかな?
葵君は会いたくなかったみたいだし・・・・彼女じゃなかったんだったら、
もしかしてあの人に昔虐められてたとか、嫌がらせされてたとか?
なんか気の強そうな子だったし!)
と、奈々子がパニックになりそうになると、葵がようやく口を開いた。
「・・・かてきょー」
「え?」
「あの時会ったあの人、俺の家庭教師だった人。」
「そ、そうなんだ〜・・・。」
奈々子は葵にそれ以上彼女の事は聞けずに、黙ってしまった。
しかしすぐに葵は再び笑顔に戻って奈々子に言った。