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ゴヤ・シンドロームの男
【その他 官能小説】

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覚醒-1

「さあ、目を開けて見てご覧なさい。この会場にいる人はみんな素っ裸ですよ」

 俺が目を開けるとその会場にいた男女は全て一糸も纏わぬマッパ状態で座っていた。

 中には性器が丸見えの女性もいる。

 しかも、その見え方が実に詳細だった。

 男の性器は体格に応じて大小長短様々に見えたし、女性器も陰毛の濃さから小陰唇の形や色まで人それぞれに差別化されて見えていた。
 
 目が合った若い女性の右の乳房の上に大きなホクロが見えた。
 
 俺は無意識に自分の胸もその場所に指先を当てて、彼女の目を見た。

『ここにホクロがあるかい?』と心の中で聞いてみた。

 彼女は一瞬はっとしたように自分の胸に手を当てた。

 俺の顔の表情から何かを読み取ったのかもしれない。



 
「それでは、今から催眠を覚まします。私が10数えるとあなたは気持ちよく目が覚めます」

 俺は催眠から解かれて、観客席に戻った。

「以上でデモンストレーションは終わります。この後は会場の皆さん同士で催眠をかけあって研修を深めて下さい」
 


 
 その会場には『ショー催眠無料公開講座』と書いてあった。

 色々な施設や会社が入っている雑居ビルの三階のイベントホールがその場所だった。

 無料ならということで、俺は吸い込まれるようにその会場に入って行った。

 会場にはパイプ椅子が並んでいて、沢山の若い男女が並んでいた。

 だが話す内容を聞いていると、何やら専門的な言葉を使っている者が多い。

 全くの素人は数少ないようだ。俺もその一人と言うことになるが。

 やがて、正面の低めのステージに立った黒いスーツの男性がにこやかに会場のみんなに話しかける。
 
 催眠がいかに無害なものか説明した後、簡単なテストをすると言う。

 そして両手の掌がくっついて動かなくなった俺は他の何人かと共にステージに上がって、さらに深い催眠をかけられた。

 だが、水を飲んでお酒の味になるという実験でかからなかった人が一人抜け、ペットボトルの蓋が宝物に見えるという実験で残りの二人も抜けて、かかりやすい俺だけが残った。

 幻覚の実験で床一面に札束が敷き詰められているのが見えたり、スリッパが猫に見えたりした後、この周りの人間が裸に見えるという催眠にかけられたのだ。

 



 そして研修タイムになったのだ。

 俺の周りに沢山の人間が群がって来た。要するに俺が催眠にかかりやすいから実験相手に選びたいという訳だ。

 俺は言った。

「どうせかけて貰うなら、この中で一番実力のある人に頼みたい」

 すると若者たちの視線が一人の人物に集中した。

 その人物は少し離れたところで二三人の女性たちに囲まれて談笑していたのだが、自分に視線が集中しているのに気がついて目を見開いて顔をこちらに向けた。

「えっ……なに?」

 それは三十代の綺麗な女性だった。

  


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