それから-5
ティアラはそのままラウルに唇を重ねた。
二人は貪るように何度も角度を変えて夢中で唇を吸う。
その時、車輪が石に当たったのかガタンと大きく馬車が揺れ、
お互いの額がゴツンと勢いよく当たった。
「痛っ・・!」
ティアラは額をさすりながら、涙目でラウルを見ると彼の額も赤くなっていた。
よく見るとラウルもうっすらと涙目だったのを彼女は見逃さなかった。
クスクスと笑い出すティアラに、ラウルは顔を赤くしながら体を起こした。
「なんだよ・・・笑うなよ。俺だって痛てぇときは痛てぇんだよ。」
そう言いながらティアラの頬を軽くつねった。
ただ一緒にいるだけでこんなに幸せな気分になれるのに、
国へ帰ったらまた離れ離れで暮らさなくてはならない現実が待っている。
ティアラはラウルの手をぎゅっと握りしめて、彼の逞しい肩に寄りかかった。
「私、帰りたくないよ・・・。もう離れたくない。ねぇ・・
このまま二人でどこか遠くへ行こう?」
ラウルも手を握り返す。