それから-3
二人には十分大きすぎるくらいの馬車に揺られて、ラウルは居心地が悪そうだった。
自分で馬に乗って駆けた方が気分がいいと思っているらしく、そわそわしている。
「それにしてもあの王子、双子だってのに正反対だったな。」
「そうなの!私も顔が同じだから、同じ性格だと思ったのに。
でもデニス王子が跡継ぎで良かったね。あんな優しい人初めて会った。」
ティアラが嬉しそうにラウルに微笑む。
「―――あいつに惚れたのか?」
「え?」
ラウルはティアラがデニス王子を思い出して微笑んだことに、
嫉妬したのかティアラを睨んだ。
「そんな訳ないじゃない!!何言ってるの・・・?私にはラウルしかいないのに。」
俯くティアラにラウルはそのままキツイ口調で尋ねる。
「そういや、あのお前を連れ去った王子に何かされてねぇだろうな?」
「・・・何かって?」
「―――まさか犯されてねぇだろうな・・・?」