それから-2
二人がすっかり目を覚ましたのは正午過ぎだった。
身支度を整えて昼食を摂り、ティアラはトランクに持ってきた荷物を詰める。
国王とデニス王子からお詫びとして、数日観光したり、
食事を共にしたいとの申し出があったが、二人は断りすぐに発つことにした。
それならばせめて何かさせて欲しいと言われたティアラは、
ラウルが馬を走らせるのは疲れるだろうと思い、
馬車を貸してもらえるようにお願いした。
それだけでいいのかと言われたがそれで十分だった。
数日分の食料をもらい、馬車に乗り込む。
デニス王子に見送られて、無理やり連れて来られたこの国を発つ。
ドミニク王子は最後にティアラに姿を見せたきり、彼女の目の前には現れなかった。
国王と王妃に初めて自分の今までの不満を訴えたそうだ。
兄上だけでなくもっと自分にもかまって欲しいと・・・。
すると国王は今までの我儘を怒った後、王子を抱きしめた。
それだけですっかり毒が抜けて気が弱くなってしまったそうだが、
デニス王子はもっと早くにこうなるべきだったのだと言っていた。