それから-10
強面の師匠は、こっそりと手を繋いでいたティアラとラウルを見ると、
フッと微笑みながら言った。
「試験は合格でも、しばらくは俺と組んで狩りに出るからな!
覚悟しとけよ、ラウル!」
そう言い残して笑いながら、ズカズカと足音を立てて去っていった。
彼が見えなくなると、ボソッとラウルは呟いた。
「マジかよ・・・。」
ティアラはクスクスと笑いながらラウルを見上げた。
「そんなに厳しかったの?」
「あぁ・・・スパルタだったな。戻った頃には体がなまっちまって、
ひどい目にあわされるかもな。」
「じゃあ、早くここを出る準備しなくちゃね!!」
「いや、急がなくていい。」
「え?」
ティアラが首をかしげるとラウルが彼女を不意に抱きしめ、頭を撫でた。
「俺が忙しくなったら、ゆっくりいちゃつけねぇだろ?」
らしくない事を言われて、ティアラは戸惑う。
(いちゃつけないって・・・ラウルもそんな事思ってたの?!)
嬉しいような恥ずかしいような気持ちになる。
「私もこうしてたい・・・。」
ティアラがそう言うと、ラウルは抱きしめたまま彼女に囁いた。
「俺の嫁になってくれ。」
ティアラは頷きながら
「はい」と答えた。