救済-1
国王からティアラを迎えに行って欲しいと言われたラウルは、
急いで馬を走らせていた。
ティアラがドミニクに連れ去られてから、すでに5日が経っていた。
偶然に連れて行かれた舞踏会で、ダンスをする隣国の王子と踊るティアラを遠くで見て、
焦燥感と不安で一杯になった。
強引にでもティアラと会った時に連れて帰れば、
こんなことにならなかったのかもしれない。
彼女のために何もできなかった自分に腹が立つ。
舞踏会の翌日、王の遣いがラウルの元へ来て身を隠すように言われ、
ただ従う事しか出来なかった自分に腹が立つ。
所詮自分は元盗賊の狩人見習。
本当は今すぐにでもティアラと一緒になりたい。
しかし彼女の叔母から、一人前の狩人にならなくては彼女を嫁にもらう資格さえない。
それに嫁にと言っても、ティアラはあんなに魅力的だから、
いつ彼女を取られるかもわからない。急がなければティアラが遠くに行ってしまう。
そんな思いからラウルの心は自己嫌悪が溢れてくる。